第7話「親戚づきあいが嫌いで悪いか!!」
オープニングは 信介が「法事用ネクタイ」とタグが付いた新品のネクタイを取り出すシーンから始まりますが、普段ネクタイなんてしてないものだから、結び方がわからなくてインターネットで「ネクタイの結び方」を探し出すなど苦労しています。
やっと準備ができてドアを出たところで、ケンちゃんと散歩に出ようとしていた隣家のみちると出会い、彼女との会話から信介が「父親の三回忌の法事にでかけるところ」だったのだとわかります。
しかし、それを聴いたみちるは、信介のグレーのネクタイの色を見て「三回忌ならまだ黒色じゃなかったかしら」と忠告してあげるのですが、教えてもらった信介は舌打ちして背中を向けて部屋に戻ってしまい、みちるへの感謝の言葉もありません。
信介の非礼さにパグのケンちゃんもウ~、ワンと吠えてました
三回忌を行ったお寺では、信介は親戚の年寄り達から独り身の暮らしについて突っ込まれたり、母親の育代との同居を勧められたり…と肩身が狭そうです。 暑い盛りに父親の三回忌を何とか済ませた信介は「あの連中はいつも同じことばかり言ってる」と母の育代にこぼします。。
そして「俺は一刻も早く、この八ツ墓村から抜け出したいんだ」と言って母や妹夫婦達を残して仕事場に戻ってしまうのでした。
しかし、戻った職場でも夫婦で来ているクライアントと話し合っていると、その家庭は2世帯住宅で、家を建てる前に親子の意見調整が必要になるなど面倒な感じです。
職場で見た そんな親子関係を我が身に置き換えておしゃべりしているみちると千鶴と英治と沙織のカップルたち。
沙織は「このひと、結婚したら相手の親と同居するのはイヤ なんて言うのよ」と不満げに言ってます。 みちるは「親との同居は、付き合っている相手によるな。ちゃんとした人のおかあさんはちゃんとしていると思うし」なんて答えていました。
さて、一方で、夏バテした信介はいつものごとく中川病院の夏美先生の診察室に出向きます。
すると夏美も夏バテしているようで、「規則正しい生活を継続すること!」とたしなめられる始末です。
この診察室での短い二人の会話が傑作でして、昔書き残したセリフデータを以下に貼り付けてみます。 『』が夏美先生、「」が信介です。
『夏バテですか…』
「ええ」
『私もです…』
「えっ、」
『な~んか体がダルくて、力が湧いてこないんですよね…』
「患者に症状を訴える医者は初めて見ましたよ」
『夏バテくらい誰だってなるってことです。 規則正しい生活をして、睡眠と食事をちゃんと摂る。水分補給を忘れない。…そうやって、解消するしかないですね』
「やってますよ、それくらい」
『継続してください』
「医者は…、無力か…」
『いちいち、憎まれ口を叩かないと診察を受けられないんですか!』
「夏バテでも怒るエネルギーはあるんですかね?」
『次の患者さんのために、エネルギー温存しときたいんで。この辺で…!』
「ここに来て、余計、バテましたよ…」
信介が診察室を出ると、待合席には大勢の人が座っていて、信介は病院の事務員に「ちょっと暑くないですか?」と訊くと、「すみません、寒いとおっしゃる方が居て…」と後ろの待合席の方を見ます。
すると、そこにいる大柄な紳士が「君、寒いから温度を上げてくれと申し上げたはずですが」…なんて注文をつけています。
「太陽にほえろ」のゴリさんじゃないよ~、実はこの男性はね~…
するとそこへ夏美が通りかかるのですが、男性の顔を見るなり 驚いた表情で、
『なにしてるの?! こんなところで』と訊ねると、男性は
「お前に話が合って来た」と答えます。
『あたし、忙しいの』
「少し話す時間くらい有るだろう」
『無いの!』
と、突っぱねた夏美は、すぐ横に信介が座っているのを見つけると、彼の手を取って、
『さあ、いらして下さーい、検査の結果、ちょっと問題が見つかりまして』…というなり信介の手を引いて、とにかく父親から離れようとします。
『詳しくお話します。どうぞこちらへ!』
父親から離れたところで、「誰なんですか」と訊く信介に『父です』と答える夏美。
信介は病院を出る前に夏美のお父さんと再び顔を合わせてしまい、 信介がなにか大変な病気だと勘違いしている夏美のお父さんから「お大事に」と言われてしまいます。
その後、仕事を終えた夏美が帰ってくると、マンションの前で娘の帰りを待っている父親の姿を見つけます。
即座に踵を返して夏美が向かったのは みちるのマンションの部屋。
ドアを開けたみちるに向かって、
「ごめん、何も聞かないで今夜泊めて」とお願いする夏美でした。
夏美を部屋に入れたみちるが、
「どうしてお父さんのことを避けるの?」と訊くと
『結婚話を持ってきたに決まっている。父が持ってきた話にはイイ話無いの。それに、みんな奥さんには専業主婦になって欲しいって言う人ばかりだし。 3年前に母が亡くなってからというもの、押さえる人が居なくなって、ますます頑固で口うるさくなって…』と、父を避ける理由を話します。
そして 丁度そのころ、いつおのコンビニで買い物をする信介は夏美の父と出会います。
缶ビールを数本カゴに入れた信介を見ると、
「酒なんか飲んじゃダメでしょ。病気でしょあなた。病人が酒を飲むのを見過ごすわけにはイカン」
と注意します。 もめたくない信介は仕方なくビールを冷蔵庫に戻してレジでの会計を済ませます。 実は その場を逃れた信介は、マンションへの帰り道にある自動販売機でビールを買おうとするのですが、ビールの購入ボタンを押す寸前に、横から夏美の父が返却レバーをひねって、ビールを買えなくしてしまいます。そしてまた「病人がお酒を飲んだらダメです」と言うのです。
参った信介は、「正直に言いますよ 僕は貴方の娘さんに成り行きで調子を合わせただけです」 と、病院内でのことは夏美の狂言だったと明かします。
「娘とはどういう関係で?」と訊ねる父親に信介は、
「ただの知合いです。それじゃ!」と逃げようとするのですが、夏美の父親は信介に付いてきて離れようとしません。
「あれ、まだなにか?」と信介が聴くと、夏美の父親は
「貴方にお願いがある、話をきいてもらえませんか?」と頼むのでした。
みちるの部屋で止めてもらった夏美は、彼女の化粧品を手に取って これは何? と聞いています。
「ボリュームマスカラ今、若い娘の間で流行ってるんですよ!」とみちるが言うと、
『ふーん、若い娘の間でねぇ~…』と夏美。
その時、夏美の携帯電話から着信音が
実はその電話は信介からのものなのですが、このあとの電話での会話がとても意味深に聞こえるやり取りになっていて面白いです。
先の例と同様に 『』が夏美先生、「」が「信介です。
『はい』
「どうも」
『おはようございます、なにか?』
『えっ?、私とですか?』
「はぁ」
『えっ…』
『わかりました、ええ、それじゃぁ』
とまあ、皆様お察しの通り、信介があまりにも言葉足らずなために、夏美に誤解させてしまうのですね。
夏美の様子が変わったのに気づいたみちるが、
「どうしたんですか?」と訊くと、夏美は
『うううん、なんでもない』と答えます。
しかし、朝の支度を終えて出勤しようとドアを出ると、偶然 信介も出勤しようとするところでした。
隣家のみちると一緒にドアから出てきた夏美を見つけた信介は、
「あ、そこにいたのか。じゃあ、13時に AtoZカフェで」と告げるのですが、私は逃げるように立ち去る信介の後ろ姿に大笑いしてました。
みちるが夏美に「あうんですか?」と訊くと、
『なんか、会いたいって』 と 夏美。
「デートですか?」
『ちがうでしょ…』
「でも挙動不審でしたよ。どうします、プロポーズとかされたら!」
『まさかー』
などと、答えながらもまんざらでもなさそうな夏美の顔が微笑ましいです。
病院の診察室でも13時が気になる夏美
『あ、ごめん、私、午後の診察まで、ちょっと出かけてくる』という夏美に対して、
「え、なんかあるんですか? デートですかぁ?」と訊くナース達。
『へ? 何言ってんのよ、ちがうわよ』
と動揺しながら診察室を出る夏美先生でした。
で、待ち合わせていたAtoZカフェに信介が来たかと思えば また、ドッチボール会話が始まります。
「アイスロイヤルミルクティーひとつ」
『あ、そうだ、きのうはすみませんでした。変なことに巻き込んじゃって』
「いえ、あの、どうしてお父さんをさけるんですか?」
『どうせ 見合い話を持って来たに決まってるんです』
「見合いぐらいイイじゃないですか。トシもトシだし。話があるだけ、ましですよ」
『貴方に言われたくないんですけど』
「ひとり娘なんだし、早くお父さんに孫の顔でも見せてあげるのが、親孝行ってもんです。
あとね、相手が再婚でも 文句言える立場じゃないんですよ」
『そんな話するために呼び出したんですか?』
「亡くなったお母さんだって、さぞかし心配してるだろうな」
と、信介の言葉をそこまで聴いたところで 私の母親が亡くなったことをどうして信介が知っているの? という顔になる夏美先生。
皆さま、お察しの通り夏美の父親が信介に対して「娘を呼び出してくれるように」と、お願いしていたのでした。
憎まれ口を叩き続ける信介に対する夏美先生の立ち回りが、とても笑えます。
今回のゲストは夏美先生のお父さんでした。
娘にわざわざ会いに来たというのに、夏美先生はとりつく島もなく、一向に娘への用件は伝えられずにいたのですね。
この第7話全体を通してのテーマは、「家族・親族とのコミュニケーションの重要さ」であったように思います。
僕にとっての7話のツボは、上記冒頭シーンをはじめとする信介と夏美先生のドッジボール会話が結構増えていること。
会話のキャッチボールではなく、相手が避けられないようなところをピンポイントでえぐり込んでくるような言葉のドッジボールなのです。
ラストで夏美先生が信介のマンションに引き出物をもっていったときの、ドア前での会話まで含めて、なんとも面白いんですね。
そしてドッジボール会話を後ろで見てたみちるも言ってましたが、頑固な夏美のお父さんと偏屈な信介が「変人という共通点」を持ち、結構似ていることが面白いですね。
夏美先生が信介みたいな男とでも、なんとか会話をする努力を続けられるのは、このお父さんによってある程度の免疫がついてるからなのでしょうね。
執筆者への愛のムチを
頂けましたら幸甚です
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