ここ何年か、真夏になると一番快適な服は楊柳生地の服だなあと実感しています。夏は薄手の綿素材の服や、麻素材の服などを着ることが多いのですが、そうしたただの綿や麻素材よりも楊柳という作り、縮み生地のほうが快適なのです。特に真夏の期間になると洗濯して乾くたびに、繰り返し縮み生地の服を着てしまい、着るたびに他の服は着たくなくなっているため、今後夏着る服は、全て縮み生地の服にしようとここ何年かは考えるようになったほど快適なのです。

 

やはり長く使われてきたものには、日本の風土に合った理由があるんだな、と改めて実感しています。以前、草履の凄さに気づいた時と同様の感動があります。

 

もう何年も猛暑が日本の夏の当たり前になっていることから、昔は下着だったステテコの生地を使ったステテコワンピース、ステテコパンツというのも当たり前になってきましたが、このステテコに使われてきた生地が楊柳生地です。

 

しかし、思い起こせば私が子供の頃、夏といえば周りの人が皆この楊柳生地の服を着ていたような気がするのに、ステテコ(生地)が見直された今になっても、昔ほど楊柳生地の服を着ている人がいないのは、日本の夏にあっていないんじゃないか?、皆この生地のことを知らないんじゃないか?なんて考えています。だって一度着てみたらその快適さに気がつくはずだからです。

 

ここ何年も真夏も真冬も化繊の生地がもてはやされていますが、そういう生地によってはなにかの事故の際に肌に貼りついて怪我の具合が増えるとか、病院の検査時に着てはいけないものがあったりとかすることを知り、何が突然起こるか分からない生活の中でリスクのあるものを身に着けたくはない、と改めて考えています。もともと、化繊の服が苦手というのもありますが、日本で育まれてきたこれほど快適な生地があるのに、それを使わないことほどもったいないことはありません。

 

しかも最近ステテコと言いながら全然違う生地のものを多くみかけるようになっていて、これでは肌にベタついてしまうのではないか?と思えるものが多くあることを知り、せっかくですから、楊柳のもの、そして日本製の生地を選ばなくては意味がないと考えています。

 

テキスタイル素材辞典サイトに、楊柳生地の説明↓

楊柳とは、表面にたて方向の細長いシボ(しわ)が表れた平織り生地のこと。クレープの一種です。
たて糸に無撚糸、よこ糸に強撚糸をZ撚りかS撚りを用い、平織りにしたあと精錬します。すると、よこ糸の元に戻ろうとする力が働き、布がよこ方向に縮んでシボが現れます。
シボは一定間隔のものもあれば、不均等のシボになる「ナチュラル楊柳」のタイプもあり、シボの現れ方によって表情が変わります。
綿・コットンが主流な素材ですが、麻・リネンや、綿・麻の混紡、綿・ポリエステルの混紡などでも作られます。

しだれ柳のような細長いしわがあることから「楊龍」と名付けられましたが、海外ではまとめて「クレープ」と呼ばれます。
「京ちぢみ」あるいは「縮み」や「楊柳クレープ」と表現されることもあります。
楊柳は安土桃山時代に日本に伝えられ、高温多湿の風土に合い、江戸時代には日本各地に普及。特に京都での生産・発展が活発でした。
シボにはたて方向のみのシボ(片シボ)と、方向性の定まらないシボ(両シボ)があります。クレープは両シボ。対して、同じくシボのある楊柳は片シボです。

特徴
楊柳は表面に凹凸が表れることで肌に触れる表面が少なくなり、生地が肌に張り付くのを防ぎます。
また吸水速乾性が高く、風通しも良いため、湿度の高い夏でもさらりとした着心地が続くのです。清涼感のある見た目や手触りも魅力。
たて方向のシボも涼しげで爽やかなデザインのひとつとして楽しめるだけでなく、洗濯してもしわが気にならず、ノーアイロンでそのまま着用できます。
しかし薄手で保温性がないため、秋冬用アイテムにはあまり向いていません。またシボがカジュアルな雰囲気を作っており、フォーマルな場面でのアイテムにも不向きです。

 

メリット

・肌との接着面が少なく張り付きにくい
・汗をよく吸い放散し、快適な着心地
・通気性が高くさらりとした着心地が続く
・たて方向のシボがデザインのひとつとなる
・洗濯してもしわが気にならない
・ノーアイロンでそのまま切れる手軽さ
・高温多湿の日本の夏にピッタリ

 

 

楊柳の名前の由来は、楊柳シボが柳の葉のように見えることから名づけられたそうです。日本には、安土桃山時代に現在の中国にあたる明の織工によって伝えられたと言われています。涼し気で、蒸れにくく着心地がいいことや、高温多湿の日本の環境に相性がよかったことから、日本全国に楊柳生地が普及していきましたが、その中でも特に、京都で繁栄して、盛んに生産され、京都で栄えたことから、楊柳の別名である「京ちぢみ」と言われるようになったそうです。

 

京都は盆地であることから、夏の暑さが特に厳しいことで有名ですが、その日本の夏に蒸れにくさで着心地がいいと長い間選ばれてきた生地ですから、やはり着やすいということが納得できるかと思います。

 

私は上記のメリットの他に、生地が意外に丈夫なことと、ダマになりにくいことも付け加えたいです。私が一番着ている縮み生地のワンピースは、5年以上着ており、春や初冬は重ね着をして着ることもあり、真夏は着心地が良すぎて洗っては着るを繰り返していますが、それでも擦れもダマもないからです。以前、ただの麻のワンピースで形も気に入って何度も繰り返し着ていたものがありますが、気づくと腰の部分が擦れて薄くなって裏が透けていて着られなくなっていて、あまりにも布地が弱いことに驚いたことがありました。形がシンプルながら絶妙なシルエットを持っていたワンピースだったので、まだまだ着たかったのですけれども。それと比較しても、ヘビロテの縮み生地のワンピースは、着ている頻度も期間も長いのですが、どこも擦れていませんので、丈夫なんだなあと考えている次第です。

 

軽く、通気性がよく、吸水・速乾性がある生地で、ストレッチ性があるというのは、最近人気の化繊生地の特徴とも一致していませんか?そこに天然素材の心地良さが加わるのですから、その強みは大きいです。上記生地の紹介にはポリエステルとの混紡もあると書かれていましたが、私は今のところそういう生地に出会ったことはありません。

 

SOUSOUは高島縮の服を1年中販売しています↓冬には不向きな生地といいますが、上記したように重ね着をすれば、春先も初冬の頃も結構暖かく着れて快適です。

繊維の街「滋賀県高島市」。そこには二〇〇年以上の歴史を持つ「縮(ちぢみ)」という生地があります。表面にシボ状のしわを作った独特の生地で、吸湿性に優れ、爽やかな着心地であることから、高温多湿な日本の風土に適した被服素材として活躍しています。その伝統は絶えることなく、地場産業として今日へと受け継がれ、今では国産の縮生地の約9割がここ高島で作られています。

 

国産の縮生地の約9割が高島で作られているということで、見かける生地がみな高島縮です。

 

中川政七商店でも紹介されています。こちらでは工場の中まで取材しています↓

 

大醐の涼綿も高島縮を使用しています↓サムネ写真はここの生地の写真です。

 

ステテココムも高島縮です↓

 

京都楊柳生地の山城

 

日本の生地にこだわった反物屋さん番匠のサイト↓こちらで紹介されている「しじら織」(サッカー生地)も日本の夏を快適にするためにできた生地です。

 

この暑い季節を少しでも快適に乗り越えていきたいものです。

 

SOUSOUで高島縮の解説動画↓こちらになぜ春夏だけでなく秋冬もいいのかが語られています。

 

こうした日本の風土に合った伝統生地、日本製のものを使っていくことは、そうした物づくりを支えていくことでもあります。日本製を使えば日本を応援することにも繋がります。三浦春馬さんが御存命であれば、きっと日本製の取材を続けられて、もっともっと日本の製品を紹介したかったのではないか、と日本製の素晴らしいものをみるたびに考えてしまいます。高島縮をはじめとする、日本に根付いた生地もそうしたものの一つです。

 

 

 

 

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