国賓にて英国訪問中の天皇皇后両陛下が、現地時間27日の午前中に国賓の公式行事を終えられて、チャールズ国王夫妻に御挨拶をされました。

 

【ロンドン=緒方優子】国賓として英国を公式訪問中の天皇、皇后両陛下は27日午前(日本時間同日午後)、バッキンガム宮殿を訪れ、チャールズ国王とカミラ王妃にお別れのあいさつをされた。これで両陛下は、英国滞在中に予定されていた国賓としての公式行事をすべて終えられた。

両陛下は宮殿を出る際、国王、王妃とそれぞれ笑顔で握手を交わし、英語で感謝を伝えられた。皇后陛下さまが国王夫妻と、頰を合わせるあいさつをされる場面もあった。車に乗り込んだ後も互いに手を振り合い、別れを惜しまれていた。

これに先立ち、天皇陛下は26日、感染症やがんなどの研究を行う施設や、国王が総長を務める王立音楽大をご訪問。日本人研究者や、日本にゆかりのある学生らと交流された。

陛下は同日夜、ロンドンの金融街シティーのギルドホールで開かれた晩餐(ばんさん)会にご臨席。お言葉で、今回の訪英が「人類共通の課題の解決のためのリーダーシップを次世代へとつないでいく機会となれば幸いです」と英語で述べられた。
※敬称を追加訂正しています。
 

王立音楽大や研究所を訪問の映像

ロンドンの金融街、シティのギルドホールでの晩餐会

 

ロンドンのギルドホールで現地時間の26日夜(日本時間27日未明)、行われた晩餐会で、天皇陛下が英語で述べられたあいさつの和訳全文は次の通り。

市長閣下
エディンバラ公殿下
御列席の閣下、卿、オルダーマン、シェリフ及びチーフコモナー並びに御来賓の皆様
本日は、私のためにこのような宴を催していただき、心より御礼申し上げます。

このギルドホールを、私は、オックスフォード大学留学中の1983年に一度訪れたことがあります。また、ギルドホールの図書館には、私が留学当時研究していた18世紀のテムズ川の水上交通史に関する史料集めのために何度か通ったことがあり、研究に有益な史料を見付けることができました。その際お昼時に近くのパブを訪れたことも良い思い出です。オックスフォード大学での何ものにも代え難い貴重な2年間を振り返る中で、英国の皆様に温かくお迎えいただいたことを改めて思い起こしております。

留学当初は、どうしても英国のお金の扱いに慣れず、ついついコインより紙幣を多く使ってしまい、結果として手元には重いコインをためることとなり、ある時それらが財布から一遍にこぼれ落ちてしまったことがありました。私は大いに慌てましたが、周りにいた人達が手分けして拾ってくださり、英国の人たちの優しさに触れ、すがすがしい気分になりコレッジに帰りました。それが今や、英国では電子決済が一般化し、コインどころか財布すら持ち歩かず、クレジットカードやスマートフォンだけで済ます人も多いと聞き、40年という時の経過を感じます。

留学当初は、どうしても英国のお金の扱いに慣れず、ついついコインより紙幣を多く使ってしまい、結果として手元には重いコインをためることとなり、ある時それらが財布から一遍にこぼれ落ちてしまったことがありました。私は大いに慌てましたが、周りにいた人達が手分けして拾ってくださり、英国の人たちの優しさに触れ、すがすがしい気分になりコレッジに帰りました。それが今や、英国では電子決済が一般化し、コインどころか財布すら持ち歩かず、クレジットカードやスマートフォンだけで済ます人も多いと聞き、40年という時の経過を感じます。

こうした両国の密接な結び付きは、人類が直面する課題に対する解を生み出す取組にまで進展しています。本日、私は、医療・生命科学の最先端の研究所であるフランシス・クリック研究所を訪問いたしました。ここでは、世界の人々の健康・保健を増進するため、日英両国の研究者が緊密に連携していると伺い、心強く思いました。また、こうした最先端の取組が、クリック博士によるDNAの二重螺(ら)旋構造の発見など、先人たちの努力と偉業の上に積み上げられてきていることに、改めて思いを致しました。

明日は、皇后と共に、V&A(ヴィクトリア&アルバート)子ども博物館を訪れ、日本の自然や民間伝承と、大衆文化・技術・デザインとの関係を取り上げた特別展を視察する予定です。日本の文化や芸術が、場所と時代を超えて、英国の子どもたちや英国で暮らす日本の子どもたちにどのようなインスピレーションを与えているのか、日英の子どもたちと触れ合いながら、実際に見て感じることを楽しみにしています。

私たちの社会を発展させ、国と国との交流の礎となるものは、人であり、人と人とのつながりです。日英両国の人々は、人とのつながりを大切にし、先人が築いてきたものを踏まえ、自然や科学、文化・芸術など幅広い事象から発想を得ながら、新たな技術も柔軟に取り入れて、様々な課題の解決に果敢に取り組んできました。今回の私たちの英国訪問を通じて、両国の人々が、長年にわたる人と人とのつながりに裏打ちされた友好親善の絆(きずな)を再確認するとともに、人類共通の課題の解決のためのリーダーシップを次世代へとつないでいく機会となれば幸いです。

ここに杯を挙げ、ロード・メイヤー御夫妻の御健勝と、シティ・オブ・ロンドンのますますの御発展、更に、日英両国民の末永い友好親善と更なる協力の進展を祈ります。

ロード・メイヤーとシティ・オブ・ロンドン・コーポレーションに乾杯。

 

 

 

 

天皇皇后両陛下は、ロンドン市内にある子どものための博物館「V&A子ども博物館」を 訪問されました。この博物館は子どものために作られたイギリス初の国立博物館で、 大規模な改修を経て、去年、ウイリアム皇太子・キャサリン妃同席のもと、リニューアルオープンしました。開放的な作りの博物館となっていて地元の親子連れなども 利用していると言うことです。現在、「日本:神話からマンガ」展が開催されていて、この展示では浮世絵の北斎やスタジオジブリのアニメなど日本が世界に与えた文化的影響が紹介されています。 スタジオでは天皇皇后両陛下は、地元の小学校や日本人学校の小学生が積み木や折り紙をする様子をご覧になっていました。 また、英国演劇界で最も権威のあるローレンス・オリビエ賞で演出賞など最多6冠を獲得した舞台「となりのトトロ」から一部のシーンが披露されました。 この作品は、映画で音楽を手掛けた作曲家の久石譲が発案し、日本テレビとイギリスの代表的な演劇カンパニーであるロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(RSC)が共同製作しています。

 

天皇陛下がウィンザー城での亡くなったエリザベス女王と夫のフィリップ殿下の墓への供花を終え出てこられました。
ウィンザー城内にある歴代国王が眠る礼拝堂の一角に、エリザベス女王とフィリップ殿下は埋葬されています。
天皇皇后両陛下は28日、かつて留学していたオックスフォードの母校を訪問し、そのまま帰国の途につかれます。日本には29日の夜、到着される予定です。

 

【ロンドン=緒方優子】国賓として英国を訪問中の天皇陛下は27日午後(日本時間28日午前)、国王がパトロンを務める王立キュー植物園を訪問し、同園の生物多様性保全の取り組みなどについて話を聞かれた。園内で報道陣の問いかけに応じ、「雅子とともにイギリスを国賓として訪問することができ、大変うれしく思います」と訪英の感想を述べられた。

陛下はこれに先立ち、ウィンザー城にある聖ジョージ礼拝堂を訪れ、令和4年に死去した英女王エリザベス2世とその夫、フィリップ殿下の墓に供花された。

陛下は報道陣に対し、供花について、「今までにいろいろお世話になったこと、よくしていただいたことについて心からのお礼の気持ち」を込めたと明かされた。

また、チャールズ国王、カミラ王妃のもてなしに対し「大変心温まるひとときを過ごさせていただいた」と感謝の気持ちを示し、「私たち2人の国賓としての訪問が、今後の日本、イギリス両国の友好親善に貢献することを願っております」と述べられた。

陛下は28日、皇后陛下さまとともに、留学したオックスフォード大を訪問し、帰国の途につかれる

※敬称を追加訂正しています。

 

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