東野圭吾作品のクスノキシリーズ第二弾『クスノキの女神』が23日に発売されました。運よく当日本屋に行って発売に気づき、即ゲット翌日読み終わりました。

 

 

一作目の『クスノキの番人』を読んだときに、本当に東野圭吾という作家は物語を紡ぐのが上手い、なんでこんな多彩な作品を書けるのだろう、と考えたのですが、この『クスノキの女神』を読んで、なんでこんなに軽く一作目を超えられてしまうのだろう、と改めて感嘆しました。

 

とはいっても、私は東野圭吾作品で過去に読んだことがあるのは、このクスノキシリーズの前は一冊だけで、その作品の多さとジャンルの豊富さはたくさんのエンタメ作品の原作本として知っているのに過ぎないのだけれども、以前読んだ本もこのクスノキシリーズ2作品もその物語力や展開の面白さ、そしてその読みやすさはさすがベストセラー作家で巧みだと思います。しかし、いくらベストセラー作家でも、それがいい作品かどうか、感動できるかどうかは別ものです。巧みな本だけどだから?という本はたくさんあります。

 

しかし、このクスノキシリーズは本当に素晴らしい。こういう作品が書けるからこそ、人気の作家であり続けているのかもしれない、と思わせるものがありますし、以前読んだことのある本も人間としての魅力にあふれた作品でした。また、エンタメ作品で私が知っている東野作品も人間的な魅力にあふれたものが多いです。なお、東野さんの小説は三冊しか読んでいないわけですが、エッセイ本(だったと思います)は読んだことがあり、アウトドア派の行動的な方という印象があります。書かれたものに、書いた人の人間性が顕れているのではないかと思うことがあるのですが、こうした作品を書かれる東野氏はきっと魅力的な方なんだろうなあ、と思います。

 

そしてきっとこの物語もきっと映像化されるんだろうと思いながら読みました。一作目の『クスノキの番人』を読んだときもそう思いながら読みましたが、この『クスノキの女神』を読んでこれは映画化されるのは既に決まっているのではないか?と想像しながら読んでいました。『クスノキの女神』には絵本が登場するのですが、映画化の際に、きっとその絵本も発売されるのだろう、とも。その絵本の発売を期待している、といってもいいかもしれません。一方で、本を読みながら読んだ人の頭の中にめいめい浮かんでくる絵本というものに勝るものはないのではないか?そうしたイメージを壊してしまうので、映像化をしても絵本は発売してほしくないかも、とも考えたりしました。いや映像化した時点でそれは関係ないのか、などとも考えたり。

 

また映像化すると、モデルとなったクスノキに忍び込む輩が登場してしまうかもしれないし、とんでもないことをする人が現れるかもしれないので、映像化はしないほうがいいのかもしれないなあ、と、いろいろな思いがよぎりました。一方でとても素晴らしい話なので、映像化することによってより多くの人がこの物語を知ることができて、なかには本当に生き方が変わる人も出てくるかもしれない、そんな影響力を及ぼすことができる物語だと感じながら読んだのでした。

 

こうしたフィクションは、事前の情報がなければないほど面白いと思いますし、私が『クスノキの番人』を昨年読んだときは文庫化作品で、書籍化されて数年経っていましたが、『クスノキの女神』は新作書籍化(ムック本に掲載されていたもの)作品ですから、「絵本」以上の新しいキーワードを書くつもりはありません。

 

ただ、本書は生き方を考えさせる物語だと書いておきます。そして繰り返しますが、本書に登場する絵本がとても素晴らしいのです。この物語の核は絵本です。また本書は今の時代が描写されていながら、とても古典的なところも感じさせる物語で、これこそ千年後も残る物語なのではないか、と思わせる普遍性がありました。本書を読んでいてある言葉が浮かんできました。その言葉とは、もともと日本人が大切にしてきた考え方を表す言葉なのですが、そうした考え方が今忘れ去られてしまった、教えられなくなってしまったからこそ、こういう本が誕生したんだなあとも考えさせられました。その言葉を書いてしまっては、この本のすばらしさの秘密が半減してしまうのでここには書きませんが、素晴らしい作家さんとはこうした考え方を新しく伝えることができるのだなあと思います。

 

今現在、過去にとらわれていたり、あるいは将来のことばかり考えている人は特に、この本を読んでみるといいと思います。

 

 

これは4年前、『クスノキの番人』が発売された時のPV動画。新作本の発売のためにこんなPVが作られるなんてさすが東野圭吾です。

 

これは一作目を読んだときに書いたブログ。この『クスノキの番人』は昨年一番売れた文庫本だそうだ。

 

 

 

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