「春は一雨毎にあったかくなり、秋は一雨毎に寒くなる」といい、このところ雨も多いですが、東京では気温が随分高くなり、2週間予報をみるともう一桁代には戻らないようです。

 

春や秋といえば気温の一進一退の繰り返しで、風邪などをひきやすい季節ともなっており、咳をする人が増えているように感じられます。私はいつの頃からか、この一進一退の変わり目を、春はGWの終わり頃、秋は10月10日の体育の日(現在は違いますが戻ってほしい)を目安にするようになっていました。暦を知るようになってから春の変わり目と感じていたGWの終わりが立夏と重なる時期であることを知り、暦により注目するようになりました。立夏は、おおむね五月五日頃に当たり、今年の立夏もこの日となっています。つまり、夏になると寒さに逆戻りすることはなくなり、せいぜい涼しい日となっていきます。春の内は、涼しいではなく寒い、というわけです。

 

 

「立夏」は二十四節季ですが、旧暦でもこの時期はまだ三月です。年によってずれ方に違いがありますが、今年の場合、本日は旧暦三月八日です。

 

旧暦三月の名前の代表的なものは「弥生(やよい)」ということが知られています。「やよい:弥生」は「いやおい:弥生」が変化したもので、「弥」は「いよいよ」、あるいは「ますます」、そして「生」は「生い茂る」で草木が芽吹くことを意味します。

 

代表的な三月の和名らしく、他にも弥生を使った三月の名前がいくつかあり、その中に「木草弥生月(きくさいやおいづき)」というのがあります。これは、木や草がいよいよ生い茂ることを表した言葉です。また、「漸生月(ややおいづき)」の略や「漸々成長(ややおい)」の略が「弥生」とする説もあり、確かに今の時期は次々と木や草花が生い茂っていくのが目立つ時期で、春を実感し始める時でもあることから、先人たちの命名の素晴らしさを感じられる時ともなります。

 

「やよい」で漢字変換をすると、弥生、彌生、三月、八代井、八生、弥代生、弥、彌と出てきますが、月の読み方としては、弥生、彌生、三月、弥、彌で、他は地名や名前等の固有名詞の字のようです。

 

花関連での三月の名前も多く、いかにもこの時期ならではの名前ではないかと思います。


その代表が「花飛(かひ)」桜前線は既に北上していますが、道を歩けば様々な花が目に入ってくる時期です。また現代人がこの言葉から浮かべるのは花粉症の時期から花粉かもしれません。


早花咲月(さはなさきづき)
早花月(さはなづき)
花咲月(はなさきづき)
花津月(はなつづき)
花見月(はなみづき)
桜/櫻月(さくらづき)
染色月(そめいろづき)
花月(かげつ)
華月(かげつ)
華節(かせつ)

旧暦の三月三日は、今年は4月11日となりました。桃の節句であることから、桃や桃の節句を表した名前も三月の名前です。

雛月(ひなづき)
祓月(はらえづき)
桃月(とうげつ)
禊月(けつげつ)
桃浪(とうろう)
桃緑(とうろく)

現在新暦でお雛様の節句をされる方が多いと思いますが、桃の開花時期は桜の開花時期と重なりますから、時期で言えばやはり旧暦の方が相応しく感じられます。


もちろん花だけが成長するわけではなく、弥生が意味するのは木や草がいよいよ生い茂るということで、そういう漢字の名前もあります。竹の葉が色づき、筍も伸びる竹関連には、しかしなぜか「秋」の字が使われています。筍が美味しい時期ですよね\(^o^)/

竹秋(ちくしゅう)
竹の秋(たけのあき)

季節で言えば春の三ヶ月の最後の月なのでそんな名もあります。

季春(きしゅん)
殿春(でんしゅん)
末春(まつしゅん)
暮春(ぼしゅん)
晩春(ばんしゅん)
杪春(びょうしゅん)
春抄(しゅんしょう)
春章(しゅんしょう)

私がお気に入りはこの二つ。

春惜月(はるおしみづき)
&
夢見月(ゆめみづき)

この二つで連想してしまうのがO・ヘンリーの小説「アラカルトの春」

 

その他の三月の名前。

佳月(かげつ)
嘉月(かげつ)
蚕月(さんげつ)
称月(しょうげつ)
夬月(かいげつ)
宿月(しゅくげつ)
花老(かろう)
穀雨(こくう)
清明(せいめい)
姑洗(こせん)
暮陽(ぼよう)
五陽(ごよう)
載陽(さいよう)
暮律(ぼりつ)
末垂(まつすい)
建辰月(けんしんげつ)

春の陽や雨に関連する名もありますし、暦で使用されているものもありますが、今では全然縁のない名前も多いようです。

雨で季節が逆戻りしてしまうからこそ、季節の変わり目は体調を崩しやすいのでしょう。今後2週間は暖かい日が続くようですが、くれぐれも「病月(びょうげつ)」にはならないよう、立夏までは衣替えは考えたほうがいいかもしれません。

 

それにしても、あと20日ほどで初夏。日々はあっという間に過ぎていきます。


参照:「和暦で暮らそう」
「おりおりに和暦のある暮らし」

 

 

 

この時期、私は地元足利フラワーパークの開花情報をチェックしてしまいます。HPに行くと開花情報がわかります。

 

 

 

 

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