皆さん、慣れるということは、よいことですが、同時に恐ろしいことです。我々は、子供の時から、毎日毎日、国語をつかっています。それですから自由自在に話ができるのですが、その代わりに、国語の貴さ、国語の正しい姿を忘れ、勝手にこれを崩し、乱雑なもの、醜いものに、してしまってはいませんか。外国語を学ぶときは、一語一語、辞書を引いて、ていねいにしらべてゆくでしょう。国語の方は、分かり切っていると思って、たいていぞんざいに放置しているのではありませんか。外国語は、ことにドイツ語などは、男性・女性・中世・過去・現在・未来、単数・複数、それらの間にきびしい差別があって、その法則を覚えなければ、どうにもならないのに、国語は気楽なもので、法則というものはないのだ、と思っている人があります。とんでもないことで、もともと国語には、きびしい法則があり、その法則に従えば、実に美しい言葉となるのです。

・・・・・・・中略・・・・・・・

人によっては、国語というもの、時代時代によって変わってゆくものとして、流動変化を重く見る考えがあります。しかし変化流動は国語だけではありますまい。ほっておけば、礼儀も乱れ、作法も崩れ、道徳も忘られていくのです。その崩れやすい中に、基準を立て、理想を示すことが大切です。国語の最も美しい形を平安時代に見、その正しい構造を五十音図によって考え、言語を清く正しくすることが大切です。

 

以上は、「物語日本史」の中の、平仮名の章にあった「国語の構造」に書かれていました。この物語日本史に国語の構造とあるのは、国語というのは先人達の叡智のたまもので人々が考え、意思を伝えるものとして成り立ったものとして日本の歴史の一部だからだと思います。そのような先人達の苦労のたまものを私達はおざなりにしすぎていませんか?

 

私は国語の大家ではありませんが、それでも日本人として生まれ育ち国語を使ってきた身として、昨今の言葉のバランスの酷さが凄く気持ち悪いと日々感じています。

 

お父さんとお母さん

パパとママ

父と母

男の子と女の子

男児と女児

男子と女子

男性と女性

男と女

上と下、

上方と下方

きみとぼく、

夫と妻

右と左

 

なんでもそうですが、言葉にもバランスがあり対の言葉があればそれを使います。

お父さんとママ、男の子と女児、男と女性、上と下方、

こんな使い方はしません。

 

英語でもレディース&ジェントルマンといいますが、レディース&マンなどといはいいません。マンというならウーマンから始まるのです。

 

ところが現在日本では不思議な現象が起きています。

 

天皇陛下と皇后陛下と言うべきところを天皇陛下と皇后さまと言うのです。あるいは、天皇陛下と美智子さま。また、皇太子殿下と皇太子妃殿下というところを、皇太子殿下と雅子さまという場合もあります。さらに、天皇陛下と皇太子殿下ではなく、天皇陛下と皇太子さまともいいます。

 

なぜこんなことがまかり通っているかというと、長年メディアがそのような言葉の使い方をわざとおこなってきているからです。人は、おかしいと感じていても何度も何度も繰り返されることに従ってしまう習性があるのです。

 

そしてメディア側はそういうバランスに反する法則を作ってこれを使用しているのです。「記者ハンドブック」をみるとそういうことが堂々と書かれています。そして、ここに書かれているからこそ、メディアはこういうおかしな言葉の使い方を止めないのです。

 

これは言葉の破壊、国語の破壊を記者がもくろんでいると言われてもしかたのないことだと思います。、

 

そしてこうした言葉に関する感覚を失っているからこそ、平気で「生前退位」などという気持ちの悪い造語もできたのです。通常行われることにめったなことで「生前」などという言葉を日本語では使用しません。なぜなら、普通のことは生きている人しかできないからです。

 

国を奪うのは言語を奪うことから始まります。私達は言葉は奪われていませんが、じわじわと言葉の破壊をされています。国語を守るのは国民しかいません。私達の言葉を守るのは私達だけなのです。

 

 

ここで何度もとりあげている「天皇家百五十年の戦い」において江崎道朗氏は、私達国民が陛下のお言葉を受け止める力が弱いから・・・と書かれていますが、私達は少しでも言葉の破壊を食い止め、国語力アップに励まなければ言葉を破壊され、私達自身の意思疎通もできなくなっていってしまいます。

 

 

 

 

 

日々

言葉を

意識しましょう\(^o^)/

 

 

 

 

なお、「物語日本史」はとても素晴らしい日本の通史の本なのですが、一般的な歴史本というよりも、日本の現在のありようが理解しやすい項目となっており、国の成り方や和歌の成り立ち、そして日本の文字の成り立ち、言葉の成り立ち、そして神社など、文化の歴史物語となっていて日本を理解しやすいものとなっています。この本は、元が「少年日本史」だったものを「物語日本史」として広く読めるようにしたものだそうで、神話を含め物語的に子供には不要なものは省かれ、また全体的に否定的なものは最小限に抑えられているようです。また子供が必ず持つであろう疑問点、例えば古代の天皇の長寿などの解説も書かれているのですが、それも否定的ではなく、日本を知るのにふさわしい物語となっていて元が「少年」とついていた物語ですが、老若男女にお薦めではないかと思います。