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 次の日の朝、いつも通りの時間に目覚めた真冬はいつも通りに行動して、いつも通りの時間に学校に登校した。
 昨日降った雨は夜のうちに止んだようだが、真冬の見上げる早朝の空は灰色の雲が一面を覆ったままだった。
 最寄駅から電車に乗り、目的の駅に着くころになると、車内は真冬と同じ制服を着た子供たちでいっぱいになった。同じ服を着た子供たちは一斉に同じ駅で降りて、一斉に同じ方向に向かって歩き始める。
 真冬はその群れの中にうまく溶け込んで、何か不思議な力に押し流されるようにして学校まで到着した。

 外部からの侵入を防ぐためなのか、生徒を閉じ込めるためなのかわからないが、学校の敷地を囲む壁は高く、正門はとても立派で頑丈な造りをしていた。 
 真冬の通う私立中学校はとても成績が良く皆が真面目な優等生ばかりの進学校なので、遅刻をしてくる生徒はほとんど誰もいないはずなのだが、正門のそばにはいつも生徒指導の先生が立っていた。
 真冬は皆と同じようにその先生に朝の挨拶と会釈をしてから正門をくぐって学校の中に入っていった。

 『二の一』と書かれたプレートのある教室に入った真冬は、窓際の後ろから二番目の席に腰を下ろした。そこで外を眺めながらしばらく待っていると、担任の先生が教室の中にやってきた。
 真冬は教室の白いカーテンを閉めると、教壇に立つ先生に注目する。ホームルームが始まり、そのあとの土曜日の午前中という時間は初めから存在していなかったかのように、あっとう間に過ぎ去ってしまった。

 授業を終えた真冬は帰り支度を始める。

「北風くん」

 すると後ろからそう声をかけられた。振り向くとそこには帰り支度を終えたクラスメートの少年、雨森希が立っていた。

「このあと、時間ある?よかったら、どこかで一緒にお昼ご飯食べていかない?」

 希は照れ臭そうに真冬をご飯に誘うと、その態度をごまかすようにかけているメガネの位置を調節した。

「無理なら別にいいんだけど、どうかな?」

 真冬が黙っていると、希はもじもじと俯き加減で体をくねらせる。

「いや、別にいいよ」

 真冬の返事を聞いて希の顔はパアッと明るくなった。

「本当?よかった。嬉しいな。えっとじゃあ、どこのお店に寄っていく?」
「僕はどこでもいい。だから雨森くんの好きなところでいいよ」

 そう言われて希は悩む。

「うーん、じゃあ、駅前のイタリアンレストランはどう?」
「うん。そこでいい」

 真冬は鞄を持って歩き出す。そのあとについてすぐに希も歩き出した。