262(本の記述 聖夜祭 ダンスパーティーの夜) | amesekaiのブログ

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「あざり、そっちの足じゃない」

 涙にそう言われて、あざりは急いで左足を前に出す。

「ほら、今度はこっち。ちゃんとリードして」

「う、うん、わかった」

 あざりはくるくると涙に操られるように回転する。

 チラッと舞台の上を見ると、曲を奏でていた学院生の姿が目にはいった。

「よそ見しない」

 しかし、すぐに視線を涙の顔に戻される。

「これ、まだ終わらないの?」

「もうすぐよ。だから、ちゃんと我慢して」

 涙の言った通り、その後、演奏はすぐに終わり、ダンスを踊っていたパートナーたちはお互いに礼をしながら、会場に用意されている料理の乗ったテーブルの側に戻っていった。

 盛大な拍手が演奏者に贈られ、パーティーはしばしの休息の時を迎える。

「ありがとうございました」

 涙がぼくに頭を下げる。

「こちらこそ」

 ぼくも同じように涙に頭を下げてそう言った。

「疲れた」

 空いている席に座ってぼくはそう呟く。

「そう?わたしはすごく楽しかったけどな」

 涙は手に二つのグラスを持っている。その一つをぼくに差し出しながら、ぼくに向かってそう言った。

「ありがとう」

 グラスを受け取り、ぼくはすぐに口をつける。

 口の中に変な味が一瞬だけ広がって、そのあとすぐに勢いのある炭酸がぼくの喉を刺激する。

 どうやらグラスの中身はジンジャーエールのようだった。