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 ぼくはそれを確認したあと、涙とは反対に部屋の中に視線を向ける。その視線の先には真冬がいた。

 真冬はさっきからずっと一言も喋らず、ひたすら本を読み続けている。

 直接床にあぐらをかいて座り込んでいる真冬の周りには本が十冊以上積まれており、そのすべてに真冬は目を通し終えていた。

 倉庫の奥にあったこの部屋にぼくたちが侵入して二時間ちょっと。流し読みとはいえ、あの分厚い本を相手にかなりの速読だ。しかも真冬の性格上、いい加減に読み飛ばしているわけではないだろう。

 本好きのぼくとしては、なかなか心を擽られる光景だった。

「真冬の手伝いはしなくていいの?」
 ぼくは涙に少しだけ視線を向けてそう聞いた。
「いいの。さっき手伝おうとしたら、邪魔だって怒られちゃった」
 涙はわざと真冬にも聞こえるような感じで声を発したが、真冬は全く動きを見せなかった。
 それを見て、涙はベーっと舌を出して、なぜか真冬ではなくぼくを威嚇した。

 それでも、そのあとですぐに笑顔になるあたり、やっぱり今日の涙は機嫌が良い。

「ねえ、何かして遊ばない?」
 涙がぼくに提案する。
「何かって何をするの?」
「うーん、例えば、しりとりとか、いっせーのせ、とか?」
 それはさすがに嫌だったので、ぼくは渋い顔をする。
「ダメ?」
「うーん、ダメじゃないけど、他に何かないかな?」