照りつける太陽が眩しい。
身体中汗まみれだ。べとべとして気持ち悪い。
「よっと」
僕は瓦礫の山の上から別の瓦礫の山の上にジャンプする。
どっかに何か面白いものは落ちてないかな?
今日はまだ何の成果も上げていない。手ぶらのままでは帰れない。なんでもいい。兄さんに自慢出来るくらいの大物を見つけないと、、。
厚手の手袋を両手に装備して、デコボコした瓦礫の中を漁っては移動し、また漁っては移動する。そんな作業を朝早くから真昼の今頃まで、僕は一人でずっと続けていた。
ここは星屑と呼ばれる場所。
簡単に言うと大きなゴミ捨て場だ。
街の中で出た瓦礫や、故障したりして使用出来なくなった色んな機械や道具が全て、この場所に捨てられ、やがては廃棄される。
そんな瓦礫の山々は街の南区全域に広がっていた。
つまり一つの区域全てがゴミ処理施設として利用されているという事になる。
しかしこれは異例の処置だろう。
街本来のゴミ処理、もしくは再利用施設はどうやら中央区にある様だ。
この場所に広がってる瓦礫の山は従来の施設では全く歯が立たない緊急事態が起こったため緊急で作られた場所のようだ。
僕たちの暮らす街は大きなダメージを受けていた。多分、何か大きな事故か災害でもあったんだろう。その時に出た残骸がこの場所に運び込まれているのだと思われる。
ここにある物は全て、廃墟と化した居住区や、僕の知らない街のあらゆる所から集められた、かつて街だったのもの成れの果てだ。
そんな真っ白な山々が僕の視界の果てまで永遠と続いていた。
まるで白い砂漠の様だった。
僕は何となく足元から小さな白い街の破片を拾い上げた。
しかし僕の拾い上げた小さな欠片は、僕の手の中ですぐに崩れ去り風と共に遠くに飛ばされてしまった。
この辺りの山は老朽化がひどい。
違う発掘ポイントを探さないとダメだな。
瓦礫の山の中には数こそ少ないものの、誰かが生活していた事を感じさせるものが混じっている事があった。それは例えばテーブルであったり、椅子であったり、電子機器であったりといった生活用品のような物だ。
僕たち以外にも、この街で暮らしていた人がいたのだ。
いや、もしかすると今もまだ生きている人がいるかも知れない。僕たちと同じように、街の何処かで小さな部屋の中に閉じ込められているのかも知れない。
もしそうなら、僕はその人たちを助けたいと思った。
狭い部屋の中から、自由にしてあげたい。
僕の中で、そんな欲求が膨らんだ。
街は今も生きてる。
なら、何処かに生きている人がいても、不思議ではないはずだ。
そのヒントだって、ここには埋まっているかもしれない。
僕はどうしてもその痕跡を見つけたかった。
「兄さんが協力してくれたらな」
兄さんがこの場にいない理由は、一言で言うと暑いからだった。昔から無駄な事はしないという主義だったが、この瓦礫の中から必要最低限の生活用品を掘り出した後、兄さんはこの場所に見向きもしなくなった。
そんな兄さんとは反対に外に出てからの僕の生活はこの宝探しが中心となっていた。瓦礫の山から使えそうな物を拾っては持ち帰り、修理をして使用出来る状態に戻す。
その作業の繰り返し。
半分は手掛かり探し。もう半分は自分の趣味。
最近ではついに、家の一階に作ったガレージは僕の持ち帰った宝物で一杯になってしまった。それでも、兄さんは僕に特に文句を言ったりしなかった。
まあ、危ないから夜になる前に帰ってこいとは言われたけど、、。
兄さんも僕と同じでこういうガジェットが大好きだ、という事も理由になるのだろう。なんだかんだ言って、兄さんは僕と一緒に道具の修理を手伝ってくれたりする。
そんな時の兄さんは、本当に楽しそうな顔をしていた。多分、本人は気がついていないだろう。それを指摘したら、きっと一緒に修理をしてくれなくなるので、今でもその事実は僕の中だけの秘密という事になっている。
僕は瓦礫の山の中で、特に大きな山に目星をつけると、頂上に向かってその山を登り始める。そして、頂上にたどり着くと、首に下げていた双眼鏡を両目にくっつけて周囲の探索を始めた。
この双眼鏡も僕の掘り出した宝物の一つだった。今一番お気に入りの道具でもある。
遠くの方で、何かが太陽の光を反射して光っているのが確認出来た。
あれを掘り返してみようかな?
僕は光の反射していた場所に向けて移動し始めた。午前の成果はゼロだった。出来ればそろそろ当たりを引きたいと考えていた所だ。暗くなる前に帰って食事と少しの仮眠をとる。
その後は、ガラクタの修理。
その時の光景を空想しながら、僕は笑顔で光の元に向かって駆け出していった。