【起稿2026年2月20日記事】

さてさて、久しぶりに「宇宙の話🪐」を投稿します。

この記事のタイトル「ダークスター」というのは、1970年代後半のジョン・カーペンターさんのSF映画に登場する宇宙船の事ではありませんし、映画「スターウォーズ・エピソード3」でダークサイドに堕ちたアナキン・スカイウォーカーの指揮する宇宙要塞の事では勿論ありません🛸

今回は、宇宙論の話です。
宇宙論は現在の宇宙の成り立ちを語る理論を意味し、我々の属する宇宙の歴史や構造を説明するものです☝

宇宙の話にご興味無い方でも宇宙の始まりに「ビッグバン」があったという話を聞いた事があると思います💥

所謂「ビッグバン理論」(膨張宇宙論)は、それ以前の「定常宇宙論」に代わって、1927年にベルギーの天文学者ジョルジュ・ルメートル(カトリック司祭でもあります)が

、1929年には米国の天文学者エドウィン・ハッブルが、天体観測で「銀河が遠ざかっている」と判断される事を根拠に主張し始めた理論で、更に1948年にはロシアの理論物理学者ゲォルギー(ジョージ)・ガモフが、前述のハッブル=ルメートルの発見、主張を一般相対性理論や量子論から説明する裏付け的理論構築をしました📘


※昔はルメートルの業績はメジャーでは無く、「銀河は遠ざかり、宇宙が膨張している」とする主張を「ハッブルの法則」と呼んでいましたが、最近では「ハッブル=ルメートルの法則」と呼ぶようになりました。

その後の観測実績の積み上げや追加の理論構築により
現在「標準宇宙モデル」とされるのは、「Λ-CDMモデル(ラムダ-コールド・ダークマター・モデル)」です🔭

「Λ-CDM」のΛとは、アインシュタイン方程式(万有引力・重力場を記述する方程式)
Gμν+Λμν=κTμν
の左辺第2項である「宇宙項」の宇宙定数(重力に対する斥力を表す)を意味し、
「CDM」の「DM」は、ダークマター(暗黒物質)を意味します📝

この宇宙項は、天才アインシュタインが後に「生涯最大の過ち」とした曰くがあるもので、最近まで科学界でもあまり重要視されていませんでした。

ところが、1998年に米国の宇宙物理学者ソール・パールムッター博士、豪州のオーストラリア国立大学名誉教授ブライアン・P・シュミット博士等により宇宙の加速膨張が判明し、宇宙項の重要性は一気に高まり、宇宙物理学者達は、宇宙定数として未知の「ダークエネルギー」と呼ばれる存在を推定して、それをスタンダードとして科学界全体が受け入れています。


ダークマターは、「銀河の回転曲線問題」という1980年代初頭までに明らかになった天文学上の問題(分光観測によって銀河の回転曲線[銀河中心からの半径に対して各位置での回転速度の大きさをプロットした曲線]を求めてみると、その銀河の「目に見える」[電磁波を放射・吸収している]物質分布から想定される回転速度とは大きく異なり、銀河の中心からかなり離れた周縁部でも回転速度が低下せず、平坦な速度分布をしている。)を理解説明する為に「現在知られている通常の物質(バリオン)とは異なり、光を出さずに質量エネルギーのみを持つ未知の物質が銀河の質量の大半を占めている。」と仮定したものです😔

因みに私たちの宇宙の構成要素内訳は、通常物質が4%、ダークマターが23%、ダークエネルギーが23%と言われています。

つまり人類は、現在のところ宇宙の4%以下(通常物質も全て分かっている訳では無い)しか認知していないという残念な状態です😓

さて、「Λ-CDMモデル(ラムダ-コールド・ダークマター・モデル)」による
宇宙の成り立ちは...
①偽の真空状態(真空エネルギーにより最初期宇宙へ相転移[宇宙誕生]・ビッグバン開始)
②最初期宇宙(高温高圧10の27乗K~10の32乗K[理論限界値])・プランク時代(力の分離無し)
④対称性の破れ連鎖(力[重力、各相互作用の分離]の開始)
⑤④による相転移によりインフレーション開始(宇宙の指数関数的膨張、温度低下開始、ダークマター[コールド・ダークマター]の密度揺らぎ発生)
⑥粒子(クォーク等)時代
⑦ビッグバン元素合成(水素、ヘリウム等の生成、宇宙誕生約3分後~)
⑧不透明な宇宙(光子の束縛、宇宙誕生約20分後~)
⑨宇宙の晴れ上がり・暗黒時代(CMB[宇宙背景放射]、宇宙誕生38万年後)
⑩ダークマターの密度揺らぎ深化・ファーストスター誕生(宇宙誕生約1億年後~)
⑩銀河→銀河団→宇宙大規模構造の誕生(宇宙誕生約3億年後~)
...とされています。
画像:NASA WMAP science team
出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Image-CMB_Timeline300_(ja).png
ライセンス:Public domain(アメリカ合衆国・NASA資料)

ところが、実は最近、この標準宇宙モデルが危機に瀕しています。

それは、このシリーズの最初の頃の記事に書いた優れた性能の「ハッブル宇宙望遠鏡」や「JWST(ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡)」が、極初期(極遠方)の宇宙から、前述の標準宇宙モデルによる宇宙の成り立ちでは説明不能な巨大銀河と思われる天体を次々に発見しているためです。


この観測事実と標準宇宙モデルの解離は、ここ数年、宇宙物理学者を悩ませています。
しかし、2007年に、当時米国ミシガン大学教授であった(現テキサス大学教授)キャサリン・フリーズ博士により、通常の核融合エネルギーでは無く、ダークマターをエネルギーに変換する「ダークスター」が、宇宙初期に存在した可能性について理論構築がなされ、その後フリーズ博士は、米国コルゲート大学の研究者とJWSTでの観測を経て共同研究を行い2023年7月と、2025年5月に「ダークスター」候補天体として...
①「JADES-GS-z11-0」
②「JADES-GS-z13-0」
③「JADES-GS-z14-0」
④「JADES-GS-z14-1」
...を同定すると共に、「今まで初期宇宙に発見された巨大銀河とされた天体はダークスターである可能性が高い。」との論文を発表しました📃
この成果は、私が考えるに
、観測事実と標準宇宙モデルの解離を埋める画期的なものです💡

※画像はイラストAC(https://www.ac-illust.com/)より引用しました。


ダークスターは直径が約30億km(太陽の直径の2000倍、地球の公転軌道の10倍、土星の公転軌道とほぼ同じ)にも達し、大きなものでは太陽の100万倍以上の質量と100億倍以上の明るさを持つ(「ダーク」と言っても暗い訳では無い)と推定されており、1個のダークスターだけで1つの銀河に匹敵する明るさとなり得るのです。

ダークスターの大部分は薄い水素とヘリウムの雲でできていて、ダークマターは僅か0.1%ですが、ダークスターはダークマターの崩壊によるエネルギーで輝くと同時に、水素の核融合反応が起こる小さな塊、すなわち、恒星になることが防がれていると考えられています。

フリーズ博士達はダークスターのエネルギー(燃料)となるダークマターの正体は「ニュートラリーノ 」(混合型のLSP[超対称性粒子の中で最も軽いもの)]で、粒子反粒子が同一のマヨナラ粒子)であると仮定しました。(ニュートラリーノはマヨナラ粒子ですから、ダークマターの崩壊はニュートラリーノだけで対消滅し発生すると考えられる。)

この「ニュートラリーノ=ダークマター」説は、まだ確定していませんが、ダークスターが理論構築、観測同定された事によって、ダークスター候補へ観測を集中する事で、ダークエネルギーと共に、大きな謎となっているダークマターの解明に繋がる可能性が高いです😉

また、ダークスターの存在が確定すると、これまた謎であった初期宇宙から存在する銀河中心の超大質量ブラックホール(天の川銀河を含め現在も各銀河中心には概ね存在する)の形成も上手く説明出来るのです🙌

この記事に書いた通り、ダークスターは現代天文学、宇宙物理学の謎の多くを一気に解決出来るピースなのです。
では今回はこの辺りで失礼致します👋