遠く福岡から友が訪れ、いつもの仲間たちが静かに集う。
それは偶然ではなく、まるで導かれるように――
「天おろし」と「水結び」の場へと、歩みを揃えていた。
大地の奥深く、まだ誰も触れていない記憶の層へ。
今回の“水結び”は、地下10メートル以上を人の手で掘り起こし、
断たれていた水の流れを、再び結び直すという祈りの行為だった。
近年、各地で囁かれる水枯れ。
かつて訪れた明治神宮の清正井の変化、
大雨による大地の崩れ――
塞がれた大出水の湧水
それらの記憶が胸の奥で静かに重なり、
この日へと繋がっていたように感じられた。
まずは、地鎮祭。
祝詞が響き渡るとき、
その言葉は音ではなく、波として心の奥へと届いてくる。
見えない何かが整い、場がひとつに結ばれていく。
やがて、井戸掘りが始まる。
単管が大地へと打ち込まれるたび、
乾いた金属音が空気を震わせる。
その響きは、まるで大地の鼓動と呼応するかのように、
深く、深く、内側へと潜っていく。
打ち込まれるたびに感じた。
これはただ掘るのではない。
閉ざされたものを、再び結び直しているのだと。
大地と水と、そして人の意志が、
ひとつの流れとして蘇っていく感覚。
そして「天おろし」へ。
手に取ったのは、麻墨とマコモを混ぜた漆喰。
陽と陰――相反するものを調和させながら、
壁へと丁寧に下地を塗り重ねていく。
その後真っ白な漆喰を更に塗り重ねる。
左官の動きは、どこか祈りに似ていた。
無心で塗り広げるたび、空間が少しずつ変わっていく。
やがてその変化は、誰の目にも明らかになった。
空気が澄んでいく。
まるで森の中にいるような、静かで清らかな気配。
呼吸が深くなり、心と体がふわりと軽くなる。
仲間たちと共に手を動かし、笑い合いながら、
ひとつの空間を創り上げていく時間。
それは単なる作業ではなく、
場と人とを結ぶ、確かな“結び”そのものだった。
今回、漆喰と左官を学びながら、
その奥にある“基本”に触れたとき、
ただ技術を知る以上の意味が、胸に広がっていった。
理解すること。
そして実践すること。
その両方が揃ったとき、
行為はただの作業ではなく、祈りへと変わる。
そして出会った二人の存在――
水結びを導く石井清輝さん。
天おろしを体現する松本英揮さん。
その歩みと思想は、
今、自分が進もうとしている道と、
まるで重なり合うかのように響いていた。
点だったものが、線となり、
やがてひとつの流れになる――
そんな確信にも似た感覚。
この体験は、きっと序章にすぎない。
ここからまた、新たな物語が始まっていく。
大地と水と人を結び直す旅が
また新たな領域で始まる。
胸の奥に、静かに灯る確かな想いとともに――
「ありがとう」という言葉が、
この世界にやさしく溶けていった。✨🔔✨
















