unrato#8『薔薇と海賊』/東京芸術劇場シアターウエスト | That's the way I am

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人生の晩年まで、あとどれくらい?
「ああ、それなりに楽しんだわね」と後々思い出せるように。



※アメンバー記事は、個人的極秘記録です。申請は受けていません。

※配信終了から大分経ちましたので、ネタバレも含みます・・・が、中年による記憶操作と思い込みが入っているかもあせる

 

 

《あらすじ》

童話作家の楓阿里子(霧矢大夢)の元に、知的障害がある30歳の青年・松山帝一(多和田任益)が訪ねてくる。

彼は阿里子の熱狂的なファンで、自分を童話に出てくるユーカリ少年だと思い込んでいた。

童話と同じニッケル姫の扮装をした娘が居たり、童話に出てくる月の庭があったりと、帝一はすっかり阿里子の屋敷に夢中になってしまう。

この家に住みたい、と無邪気に願う帝一に、「あなたは夢から目覚めなくてはいけない」と阿里子は告げる。

帝一の後見人・額間は、物語に出てくる薔薇の短剣のレプリカを使い、帝一を意のままに操作していた。それを知った阿里子は怒り、帝一を匿う事にしたのだが、それによって夫、同居する義弟、娘の千恵子(田村芽実)とのバランスが崩れてきて・・・

 

 

物語は、楓阿里子邸での、たった1日の出来事です。

ゴブラン織りの豪華なソファ、上質な食器が重なり合う音。

常に整頓される生活感の無い居間。

そして童話の世界を模した庭園。

長年一緒に暮らす家族でさえ、阿里子が作り上げた虚飾の世界では配置された脇役のよう。

そこに現れたのが、白痴の松山帝一です。

帝一は、ある意味ホンモノですから、阿里子がギリギリ保っていた境界線さえ、

「違うでしょ?本当は、そうじゃないでしょ?」と踏み込んで来て、暴いてしまう。

そして、戸惑う阿里子の手を取り、深淵まで連れて行こうとする。

「貴方は危険な人だわ」と、一度はさよならを告げた阿里子だったけれど、帝一が虐げられていると知るや、自分の庇護下に置いてしまうんです。

壊された純潔を修復し続ける阿里子とって、『純真そのもの』の帝一は虚飾を本物に変えてくれる。

 

2人は、2人しか存在しない世界へ浸っていく。

 

これに慌てたのが、夫と義弟。

これまでは、ヒロイン阿里子の相手役として存在していたのに、自分らとは真逆の登場人物が現れましたからね。

今や風前の灯火ですよ。このままでは物語から削除されてしまう。

さらに、帝一の後見人・額間が帝一を連れ戻しにやって来て、さらに色んなことが起きちゃうんですが・・・

 

 

原作は三島由紀夫。彼の作品の中では、異色のファンタジーと言われており、三島は観劇中に涙を流したという逸話が有名らしく。

ところがドッコイ、上演中は笑い笑がチョイチョイ起きてました。

昭和独特の会話のやりとりが、現代では何か面白い雰囲気を出してるのかな? 時には 「ナゼ、ここで笑いが起きる??」と思う事もありまして汗 幕間に、笑いが起きた辺りを確認したら60歳~70歳代の方々でした。

自分世代の事を、現代の若者が演じる事が面白かったのかしら?

帝一の言動を、「まあ、ウチの孫と同じだわ(*^-^)」と微笑ましく感じたのかしら?

 

まあ、それを置いておいて・・・

昭和の文豪らしい、意味ありげな言葉の応酬。情景や心情を歌うように口上したり。

とにかく THE・演劇 って感じでした。

もしかして、私の初のストレートプレイ観劇なのかな?コレ。

 

 

霧矢大夢さん・・・顔小さい 細い 着物が良く似合う。芯の強さがあって、声もキリリっとしてて聞きやすかった。3幕目、周りがあーだこーだと好き勝手言ってる間。台詞がなく、空を見つめているだけなのに、すごい存在感がありました。

 

多和田任益くん・・・ようやく会えました 3年ぶりですよドキドキ

1幕目の登場シーン。上手から駆け込んでくるんですけど、ちょうど私が座る下手側・目の前で演じてくれるんですよー。

偶然とはいえ、嬉しくて仕方なかった音譜 (心が泣いた(/_;))

 

子供の仕草を模写できる役者さんは、他にも沢山居ると思います。ですが、どうしても「何か匂って」くる。

体はオトナ・心はコドモを、ここまで自然に演じられるのは多和田くんだからこそ!

 

2幕目、阿里子の膝に身を投げるところ。

怖くて嫌なモノから逃げて、お母さんのエプロンの下の安全圏に隠れる、あの表情よ!(下がり眉毛に、お口がフシュ~)

5歳?5歳なの?

もう可愛くてね~花

そこだけ切り取ってブロマイドにしたかった!

本当に「ボクは悲しい・・・」って泣き方するから、同化しちゃって、こっちまで泣きました。(出てくるだけで泣いたという梅棒・すいーつさんの気持ちが判りました)

 

かと思えば、何もかも理解しているような大人びた瞳になったりね。

彼は大いに包容力のある男性でもありますから。

「僕が連れて行ってあげるよ」なんて手を差し出す処は、本当に王子様まじかるクラウンみたいでした。

 

台詞回しも良かったです。大きくて、聞きやすい声で、活舌も良くて。あの長台詞を淀みなく、テンポもリズムも良かった。

本当に実力をつけてきたんだなあって感心してしまいました。

 

 

田村芽実ちゃん・・・違和感が無くて、昭和にタイムスリップしたかのよう。2回観ましたけど、一度も噛まずに自然に台詞が言えてるし、リアル千恵子でした。(多和田くんと熱海・モンテカルロを演じて欲しい)

 

須賀貴匡さん、鈴木裕樹さん・・・昭和の夜の世界じゃモテまくったでしょうね?って感じが出てましたw 

2人が狼狽して、シンクロタバコ喫煙するシーンとか笑いが起きてましたね。

この兄弟が過去を語り合うシーンは、いわば「推理」な部分。

結構長いシーンで、一度でも集中力が切れたら、お芝居が崩れちゃう緊張感がありました。

こちらも、聞き漏らすまい!(◎_◎;)と腕組みをして集中していたら、お隣の席の方も同じく腕組みして見入ってましたw

(あと、鈴木さんの顔が小さくてビックリ。足を組む度に、足長いアピールしてて笑いそうになりました)

 

三幕目の最後の方は、幻想的というより幻覚みたいな感じ。キリコ?

真っ白な人々の中に、鮮やかな熱帯の花園が浮かび、大きな月に覆われて

 

あぁ、これは夢なのか?

夢というには、つよい眩暈をおぼえる

 

うっとりと浸る帝一に、キッパリと告げた阿里子の言葉。

 

冷や水を浴びたような瞬間、遮断

 

阿里子から追い出された感覚でした。

ああいう演出、好きです。

 

 

手が腫れあがるぐらい、拍手しました。届け!届け!って願いながら拍手し続けました。

霧矢さんの合図で舞台袖に引っ込むのところね

「じゃ、戻りますよ?」

「ウン」

って声が聞こえてきそうで。 

最後まで微笑ましかったw

 

見応えありました。お席も良かったので、心の底から満足でした。

ありがとうございますドキドキ

 

そうそう!

下手ギリギリに、不自然に椅子が一脚置かれていて。。

その椅子に、次々と演者さんが座って演じてくれるんですよ~

私は「下手FC用・ファンサ椅子赤薔薇と命名しましたw 

 

ポスターがシンプルなのが謎。昭和っぽい?