※配信終了から大分経ちましたので、ネタバレも含みます・・・が、中年による記憶操作と思い込みが入っているかも![]()
《あらすじ》
童話作家の楓阿里子(霧矢大夢)の元に、知的障害がある30歳の青年・松山帝一(多和田任益)が訪ねてくる。
彼は阿里子の熱狂的なファンで、自分を童話に出てくるユーカリ少年だと思い込んでいた。
童話と同じニッケル姫の扮装をした娘が居たり、童話に出てくる月の庭があったりと、帝一はすっかり阿里子の屋敷に夢中になってしまう。
この家に住みたい、と無邪気に願う帝一に、「あなたは夢から目覚めなくてはいけない」と阿里子は告げる。
帝一の後見人・額間は、物語に出てくる薔薇の短剣のレプリカを使い、帝一を意のままに操作していた。それを知った阿里子は怒り、帝一を匿う事にしたのだが、それによって夫、同居する義弟、娘の千恵子(田村芽実)とのバランスが崩れてきて・・・
物語は、楓阿里子邸での、たった1日の出来事です。
ゴブラン織りの豪華なソファ、上質な食器が重なり合う音。
常に整頓される生活感の無い居間。
そして童話の世界を模した庭園。
長年一緒に暮らす家族でさえ、阿里子が作り上げた虚飾の世界では配置された脇役のよう。
そこに現れたのが、白痴の松山帝一です。
帝一は、ある意味ホンモノですから、阿里子がギリギリ保っていた境界線さえ、
「違うでしょ?本当は、そうじゃないでしょ?」と踏み込んで来て、暴いてしまう。
そして、戸惑う阿里子の手を取り、深淵まで連れて行こうとする。
「貴方は危険な人だわ」と、一度はさよならを告げた阿里子だったけれど、帝一が虐げられていると知るや、自分の庇護下に置いてしまうんです。
壊された純潔を修復し続ける阿里子とって、『純真そのもの』の帝一は虚飾を本物に変えてくれる。
2人は、2人しか存在しない世界へ浸っていく。
これに慌てたのが、夫と義弟。
これまでは、ヒロイン阿里子の相手役として存在していたのに、自分らとは真逆の登場人物が現れましたからね。
今や風前の灯火ですよ。このままでは物語から削除されてしまう。
さらに、帝一の後見人・額間が帝一を連れ戻しにやって来て、さらに色んなことが起きちゃうんですが・・・
原作は三島由紀夫。彼の作品の中では、異色のファンタジーと言われており、三島は観劇中に涙を流したという逸話が有名らしく。
ところがドッコイ、上演中は笑い
がチョイチョイ起きてました。
昭和独特の会話のやりとりが、現代では何か面白い雰囲気を出してるのかな? 時には 「ナゼ、ここで笑いが起きる??」と思う事もありまして
幕間に、笑いが起きた辺りを確認したら60歳~70歳代の方々でした。
自分世代の事を、現代の若者が演じる事が面白かったのかしら?
帝一の言動を、「まあ、ウチの孫と同じだわ(*^-^)」と微笑ましく感じたのかしら?
まあ、それを置いておいて・・・
昭和の文豪らしい、意味ありげな言葉の応酬。情景や心情を歌うように口上したり。
とにかく THE・演劇 って感じでした。
もしかして、私の初のストレートプレイ観劇なのかな?コレ。
霧矢大夢さん・・・顔小さい 細い 着物が良く似合う。芯の強さがあって、声もキリリっとしてて聞きやすかった。3幕目、周りがあーだこーだと好き勝手言ってる間。台詞がなく、空を見つめているだけなのに、すごい存在感がありました。
多和田任益くん・・・ようやく会えました 3年ぶりですよ![]()
1幕目の登場シーン。上手から駆け込んでくるんですけど、ちょうど私が座る下手側・目の前で演じてくれるんですよー。
偶然とはいえ、嬉しくて仕方なかった
(心が泣いた(/_;))
子供の仕草を模写できる役者さんは、他にも沢山居ると思います。ですが、どうしても「何か匂って」くる。
体はオトナ・心はコドモを、ここまで自然に演じられるのは多和田くんだからこそ!
2幕目、阿里子の膝に身を投げるところ。
怖くて嫌なモノから逃げて、お母さんのエプロンの下の安全圏に隠れる、あの表情よ
(下がり眉毛に、お口がフシュ~)
5歳?5歳なの?
もう可愛くてね~
、
そこだけ切り取ってブロマイドにしたかった!
本当に「ボクは悲しい・・・」って泣き方するから、同化しちゃって、こっちまで泣きました。(出てくるだけで泣いたという梅棒・すいーつさんの気持ちが判りました)
かと思えば、何もかも理解しているような大人びた瞳になったりね。
彼は大いに包容力のある男性でもありますから。
「僕が連れて行ってあげるよ」なんて手を差し出す処は、本当に王子様
みたいでした。
台詞回しも良かったです。大きくて、聞きやすい声で、活舌も良くて。あの長台詞を淀みなく、テンポもリズムも良かった。
本当に実力をつけてきたんだなあって感心してしまいました。
田村芽実ちゃん・・・違和感が無くて、昭和にタイムスリップしたかのよう。2回観ましたけど、一度も噛まずに自然に台詞が言えてるし、リアル千恵子でした。(多和田くんと熱海・モンテカルロを演じて欲しい)
須賀貴匡さん、鈴木裕樹さん・・・昭和の夜の世界じゃモテまくったでしょうね?って感じが出てましたw
2人が狼狽して、シンクロ
喫煙するシーンとか笑いが起きてましたね。
この兄弟が過去を語り合うシーンは、いわば「推理」な部分。
結構長いシーンで、一度でも集中力が切れたら、お芝居が崩れちゃう緊張感がありました。
こちらも、聞き漏らすまい!(◎_◎;)と腕組みをして集中していたら、お隣の席の方も同じく腕組みして見入ってましたw
(あと、鈴木さんの顔が小さくてビックリ。足を組む度に、足長いアピールしてて笑いそうになりました)
三幕目の最後の方は、幻想的というより幻覚みたいな感じ。キリコ?
真っ白な人々の中に、鮮やかな熱帯の花園が浮かび、大きな月に覆われて
あぁ、これは夢なのか?
夢というには、つよい眩暈をおぼえる
うっとりと浸る帝一に、キッパリと告げた阿里子の言葉。
冷や水を浴びたような瞬間、遮断
阿里子から追い出された感覚でした。
ああいう演出、好きです。
手が腫れあがるぐらい、拍手しました。届け!届け!って願いながら拍手し続けました。
霧矢さんの合図で舞台袖に引っ込むのところね
「じゃ、戻りますよ?」
「ウン」
って声が聞こえてきそうで。
最後まで微笑ましかったw
見応えありました。お席も良かったので、心の底から満足でした。
ありがとうございます![]()
そうそう!
下手ギリギリに、不自然に椅子が一脚置かれていて。。
その椅子に、次々と演者さんが座って演じてくれるんですよ~
私は「下手FC用・ファンサ椅子
」と命名しましたw
ポスターがシンプルなのが謎。昭和っぽい?


