イル・ディーヴォ -魔王と呼ばれた男- | 記憶のための映画メモ

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イル・ディーヴォ -魔王と呼ばれた男-


2008年/イタリア/110分
監督:パオロ・ソレンティーノ
出演:トニ・セルヴィッロ、カルロ・ブチロッソ、フラヴィオ・ブッチ、アルド・ラッリ、マッシモ・ポポリツィオ、他
おすすめ度(5点中) → 4.1


――― あらすじ ―――――――
1990年代初頭、第71代イタリア首相ジュリオ・アンドレオッティが自身にとって7期目の内閣を発足させる日から、大統領選への立候補と落選、マフィアとの関係や汚職の疑惑で首相の座を追われ、裁判にかけられるまでを描いている。(Wikipediaより)


―――  感想  ―――――――

めっちゃ面白かったー!イタリアで長い間首相を務めたジュリオ・アンドレオッティのお話。映画が公開された2008年は本人存命だったけど、2013年に94歳の生涯を閉じたよう。というのは、この映画を観てアンドレオッティのことを全く知らなくてWikipediaで得た情報なり。


舞台は1990年代初頭。イタリアで何十年も最大勢力だった政党“キリスト教民主主義”に身をおくアンドレオッティ首相が、7期目となる内閣を発足させるところからスタート。後に大統領選に出馬するが落選するところや、数々の疑惑により失脚していく様子を描いています。


▲アンドレオッティ。感情を表に出さないし、口数も少ない彼が、一体なにを考えながら政治を行っていたのか。


▲アンドレオッティ派の面々が実に魅力的。しかもその登場の際に、“シャーク”や“健全”などそれぞれの“通称”を書き加えるところがとてもキャッチーです。


▲なかでも通称“大臣”が、かなりのキーマン。器用に動き回りつつ、茶目っ気もたっぷり。


さて、難しくなりがちな政治の話ですが、小気味の良い音楽を挟みつつ重厚感を残しながらの展開は圧巻でした。アンドレオッティのことを知っていたらもっと楽しめたかも。


アンドレオッティは政界に絶大な影響力を持ちつつ、マフィアとも深いつながりがあったとされる人物。

元首相のアルド・モーロが誘拐・殺害された事件や、そのほかの重要人物たちが謎の死を遂げた怪事件に関与されたとして重要な疑惑をかけられつつも、その驚異的な影響力からか実刑判決となることはなかった。


映画を観ていると、平然と汚職や不正を働きながらも国が成り立っていたのはこういう人物がいたからなのではないかと思えてくる。このぐらいの格の政治家になってくると、もはや怪人の領域に達している感がある。そして、不謹慎な発言に聞こえかねないけど、そういった人物はやはりたまらなく魅力的なのだ。


いずれにしても、パオロ・ソレンティーノ監督作はこれから要チェック。未見の「きっと ここが帰る場所」、そして、もうすぐ公開の「グレート・ビューティー/追憶のローマ 」は必ず劇場へ行くつもりです。