ポール・ヴァーホーヴェン/トリック | 記憶のための映画メモ

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ポール・ヴァーホーヴェン/トリック


2012年/オランダ/89分
監督:ポール・ヴァーホーヴェン
出演:ピーター・ブロック、ヨフム・テン・ハーフ、サリー・ハルムセン、ロベルト・デ・ホーフ、他
おすすめ度(5点中) → 3.5


――― あらすじ ―――――――
資産家のレムコは50歳の誕生パーティで妻子に囲まれ、裕福で幸せな人生を噛みしめる。するとそこに、海外で暮らしていたはずの元愛人ナジャが不敵な笑みと共に現われ…。(allcinemaより)


―――  感想  ―――――――
現在ヒューマントラストシネマ渋谷でやっている「未体験ゾーンの映画たち 2014 」で観てきた作品。僕はポール・ヴァーホーヴェンときくと、アンモラルかつ過激でキャッチーな作品というイメージがありますが、今作はイイ感じに力のぬけたコメディとして受けとめました。


冒頭の4分だけを公開して、その後のストーリーを一般公募して作っていたという今作。エンドクレジットで脚本を寄せてきたと思われる人の名前がズラーって並んでいたけど、その全部の脚本を吟味して、いい部分だけミックスしていって作ったっぽい。


で最初の30分ちょっとでその説明をするんですね。なんだかメイキングをみているような感じになります。


▲ヴァーホーヴェン監督がいろいろと語りますの。


正直、このドキュメント部分は長すぎると思いました。15分でいいです。


その後、実際に作ったドラマパートが展開されます。これがたしか50分。スッキリと楽しく観ることができる話でしたね。



▲主人公レムコ(左)の誕生パーティーから始まるドラマ部分。


▲会場には、かつての不倫相手ナジャ(真ん中の白いの)が来ていてビックリ。

しかもお腹が大きいのだ。まさか俺の子か?とレムコは焦ります。


レムコには奥さんと娘と息子がいます。パーティーで娘はトイレに入った時にタンポンがトイレに浮かんでいるのを見かけます。娘の前にトイレに入っていたのはナジャなんですね。物語の序盤ですが、この時点でナジャが妊娠を偽っているのではないかと、観客である我々に教えてくれるわけです。

これは伏線のようでいて、僕はコメディを盛り上げるためだけの道具だと思いました。


ナジャの妊娠をネタに、レムコは会社を売却するよう共同経営者から迫られます。レムコは自分がナジャを妊娠させてしまったと思い込んでいるので、シカタナシと条件をのもうと考えています。


▲窮地に立たされているレムコですが、実は娘の友達のメリルとも不倫関係にあるんですね(モテモテだなー)。


このメリルが、とても良い脱ぎっぷりで、僕メロメロでしたよ。

冒頭のパーティーの場面で、レムコの息子がメリルに対して「オッパイ見せて」って言うんだけど、そしたらメリルは小悪魔の笑みを浮かべてオッパイをぽろろんと出してくれるんですね。


▲レムコの息子とメリル。


最後の方で、レムコの妻がナジャのウソを立証する場面があるのですが、物語のクライマックスと捉えていい実に素敵な瞬間でしたね。そのシーン、すげー笑いましたよ。

だってレムコの妻は、ナジャの大きくなったお腹に何回も何回もハサミを突き刺すんですもん。で、お腹からは一滴の血も流れないんです。それもそのはず、それは単なるスポンジ状のものだから。

画としては妊婦のおなかをはさみで刺すという非道なものですが、だからこそ余計に笑った感じがします。


ラストもライトタッチで締めくくり、こーいう映画は気楽に観れていいなーと思う反面、ヴァーホーヴェンにしては非常に薄口だったかもなぁ、と若干の物足りなさを感じています。