SR サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者 | 記憶のための映画メモ

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こんにちは!
大好きな映画も数日で忘れてしまう我が記憶力。
ユルユルの脳味噌に喝を入れるための映画ブログです。

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SR サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者


2012年/日本/110分
監督:入江悠
出演:奥野瑛太、駒木根隆介、水澤紳吾、斉藤めぐみ、北村昭博、永澤俊矢、ガンビーノ小林、美保純、他
おすすめ度(5点中) → 4.5


――― あらすじ ―――――――
埼玉のヒップホップグループ“SHO-GUNG”を脱退し、ひとり東京へと出て行ったマイティ。しかし彼は“極悪鳥”のメンバー入りを期待してパシリの扱いに甘んじる日々を送っていた。やがて正式メンバー入りを餌に非情な仕打ちに遭った彼は、怒りにまかせてメンバーの一人に大ケガを負わせてしまうのだった。そして追われる身となったマイティは栃木へと逃亡するのだが……。


―――  感想  ―――――――
冗談抜きでマジ面白かったです!入江監督の力量スゲ~!!

思わずTシャツまで買ってしまって、自分撮りまでしてしまう始末です(笑)。
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以下、ネタバレしまくっているんで、劇場に行く人はスルーでお願いします。


SRシリーズ1で“SHO-GUNG”を脱退して東京へ行ってしまったマイティのその後を追った作品です。

マイティは“SHO-GUNG”を脱退し夢を追いかけ東京に来たものの、

“極楽鳥”というグループのパシリに甘んじる毎日を過ごしていた。

それでもラップの練習は欠かさず、ついにフリースタイルの個人大会で決勝戦まで勝ち進む。


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▲主人公マイティ。彼の服装って、誰にも着こなせないようなものばかりなんですよね。

なんか自己主張の強さを感じるし、燃えたぎるようなハートまで感じてしまいますね。


しかし、決勝まで進んだマイティだったが

“極楽鳥”に八百長を強要され、チャレンジすることなく優勝を逃してしまう。

しかもその後、そんな彼の精神的犠牲も無駄にされ、

怒り狂ったマイティはメンバーのひとりをボコボコの半殺しにしてしまうんですね~。


何?SRシリーズで、マジ暴力描写??

そうなんです。今回はコミカルさに守られたシリーズ1と2にみられた安心感がないんですよね~。

ライブシーンもかなりカッコいいし、もうね~超リアル志向で、超立派な音楽青春映画なんです。


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▲夢を踏みにじられたマイティの怒りが爆発する。つーかマイティってフツーに怖いんですけど。。


ここから彼の転落人生がはじまります。

もしかしたら、“SHO-GUNG”を脱退した時点で彼は転落してたのかもしれないですけどね。

だって“SHO-GUNG”のメンツはやっぱりソウルメイトなんだもん。

ラストまで観たらそれが痛いほど心に染み入るんですよね~。


さてさて、暴力沙汰を起こしたマイティは、恋人の一美と一緒に栃木へと逃亡。

そして不法行為で商売するグループのところで、働くようになるんですが、

この時点で、もうマイティはラッパーの夢を諦めているんですね。毎日を腑抜けのように生きているんです。

ちなみにこの不法商売の人たちの描写が極端すぎる気がしました。社会のつまはじき者が全員集まったような場所なんですけどね、ちょっとやり過ぎな気がしてしまいましたよ。もの静かなモチカン野郎とか、不法滞在の中国人とかあんまりどうでもよかったような気がしたんですが。。。


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▲マイティ in 栃木。やっぱりフツーに怖いマイティ(笑)。


そうこうしているうちに、その不法商売をしている人たちが

「いっちょ栃木でドでかいライブをやったるか~」って言いだして、音楽イベントを開催することになるんですね。


ちなみに、ここでマイティはこのコワモテの先輩方に「お前、むかし音楽やってたんだろ?ちょっと踊ってみろ」って、そこでかかっていた音楽でダンスを強要されるんですけど、渋々踊り始めたマイティのダンスが、けっこうイイんですよね(笑)。いい動きじゃんね~。この何ていうんでしょうね、マイティの夢を諦めてヤケクソ(でも無気力)な描写がサイコーですね。


んで、そのイベントのためにオーディションで出場者を募るんですけどね、、、

そこで奴らがやってくるわけですよ!!


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▲オーディションのために埼玉からやってきた“SHO-GUNG”こと、イックとトム。

それまでこの映画は張りつめた空気でずーっと突き進んでいたんで、

このふたりの登場は本当に晴れ晴れとしたものがありましたね!

イックなんて、もうマスコットですよ(笑)。癒しの効果すらありますからね。


オーディションで、マイティとニアミスしているイックとトム。あぁ~じれったい!!

今作では、マイティとイック&トムという、正反対(夢にたいして)の存在を描くことで

両者の人物描写を深く深く掘り下げているんですけど、めっちゃ上手いですね。


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▲オーディションで、“SHO-GUNG”は同志ともいえる“征夷大将軍”と知り合い、意気投合する。

審査員たちにラップで軽口をたたくイックたちがカッコいいんですよね~。

ちなみに、もはやお約束となった“タケダ先輩”の引っ張り具合もシリーズならではの安らぎがありますね(笑)。


陽気なイックたちが描かれる一方で、マイティは窮地に陥る。

マイティの恋人・一美はスナックみたいなところで働いているんだけど、

ママさんにそそのかされて体を売って商売をしてしまうんですね。

そのことにキレたマイティは、そのママさんと口論するうちに灰皿でゴンッって頭を殴ってしまうんです。


動かなくなったママ。

殺人の恐怖から、再び逃亡しようとするマイティ

(ここで怯える一美を慰めようと、マイティが初めて彼女の前でラップを聴かせるくだりが泣かせます)。

そして、絶望しきった彼の耳に聞こえてくる“あのメロディ”。

ライブ会場にいた極楽鳥によってボコボコにされるマイティ。

それをみてライブステージからラップで応援する“SHO-GUNG”。

シリーズのラストを飾るお約束のラップによる語りかけ。

マイティの心にハートが復活するあの瞬間。


ラストのこの怒涛の展開は、本当に本当に画面から目が離せなかった。

ジレンマをしっかり描きながら物語を引っ張る入江監督の演出力。

すごい映画を観てしまいましたね。


まぁ、マイティが「何につけても簡単に逃げすぎ」って感もありますし、序盤で極楽鳥に追いかけられていたマイティが全然捕まらないのもいかがなものかな、と思ったんですけど、そんなのどうでもいいですね(笑)。

だって面白いんだもん(^∇^)


劇場のなかのアットホームな雰囲気も今作ならでは。

みんなが“あいつ等”を応援しにやってきたんだな~って感じでしたね。