獣医が嫌いではない犬 | 4コマ漫画「アメリカは今日もアレだった」

4コマ漫画「アメリカは今日もアレだった」

アメリカ暮らし漫画と昔の日本での愛犬物語です。

その時です、お医者が床にしゃがみ
「ピピッ!!」
 ピピのうしろ姿にむかって叫びました。
するとピピは
「ぐるっ!!」
 走っているかっこうのまま、顔をふりむけたのです。

 

それは、必死さでいっぱいに「ぷうっ」とふくれ、とはいえ、ふりむいたほうのほっぺたは肩に押しつぶされているから「しわしわ」な、さらに二つの目は泣きそうに困ってちいさな点々な、そんな顔でした。

そして、ピピは次の瞬間
「・ちからいっぱい!!!!」
 回れ右、いや回れ左をして走ってきたのです。
 

かがんでいるお医者の前まで飛んでくると、ピピはいきなり
「ぺたん!」
 と腹ばいました。

それから、こんどはおおきなおおきな上目づかいで、お医者を見あげています。
「よーし、よし」
 お医者はピピをほめ、両脇に手を回して、ピピのからだを持ちあげました。
 

ピピはまだ困った顔のままだけど、おとなしくお医者の手の中にいました。

そうなのです。

ピピのつらい記憶は、もちろんつらくて恐くて、大嫌い。
でも、けっしてお医者その人を嫌いなわけではないのです。