いっぽうで、すっきりとひらけた上の夜空には、いくつもの飛行機が、じゅうぶんな間隔をあけて飛んでいました。
ここは、飛行機の通り道なのでしょうか。
まず、くろい空がごそごそと騒ぎだし、それで見あげて探したら、ちいさく丸いひかりが見えます。
白、赤、黄いろ。
ひかりは規則的に、心臓のようなリズムをとって点滅し、それをわたしは、ずっと見あげています。
一機が、だんだん近づいてきます。
わたしの顔は、だんだん垂直に、上を向いていきます。
飛行機は、ぴったりわたしの真上を通っていくのです。
そしてわたしはすばやくからだを反転し、去りゆく高い心臓を、いつまでも見送るのでした。