冬の夜の前代未聞 | 4コマ漫画「アメリカは今日もアレだった」

4コマ漫画「アメリカは今日もアレだった」

アメリカ暮らし漫画と昔の日本での愛犬物語です。

 何はともあれ、冬の夜。
父と母が出かけた後、わたしとピピは、ストーブが燃えるあたたかい居間で楽しく遊びました。

 

まずわたしが、床にあぐらをかいて座ります。
するとピピが、わたしの前に、背中を向けて座ります。
「こぷちゃん、かたがこらない?」
 わたしはそう言って、ピピのちいさな肩をつまみます。

 

犬は、とても撫で肩です。
撫で肩というのは、肩の先がふつうより下がっている肩のことです。
わたしは、よく思うのです。
犬は、とても、とても撫で肩だと。
こんなにひどい撫で肩で、そして、いつも人間を見あげていて、犬はとても肩がこることでしょう。

 

というわけで、わたしはピピのちいさな肩を、指先でちびちびともみはじめます。
ピピは頭を垂れ、じっとしています。

 

この肩もみが終わると、わたしは両手をピピの前にまわし、腕をとって、そうっと持ち上げます。
それで、ピピは座ったまま「おちんちん」みたいなかっこうになります。

今、ピピのうしろ頭は、わたしの顔の前にあります。
やわらかい、みじかい毛のあたたかさが、わたしの鼻さきに伝わってきます。
そこで、わたしは静かにつぶやくのです・・

「ふー・・」


 そしてとつぜん大きく
「いっちゅぴー!!!!」

 のかけ声と同時に、わたしはピピもろとも、仰向けにひっくりかえりました!!
船のようになったわたしのお腹の上で、ピピは口を開け、じたばた暴れます。
おおきなくろい目が、わたしの顔の間近で、キラキラひかります。