巨人の宴会 | 4コマ漫画「アメリカは今日もアレだった」

4コマ漫画「アメリカは今日もアレだった」

アメリカ暮らし漫画と昔の日本での愛犬物語です。

 

 ピピは、そのいちじくのお尻を

「ふりふりふりふり」

 と、揺らして歩きました。
それはまるで、フリルがたくさんついた下着みたいです。


フリルパンツのピピとわたしは、やっぱり毎日散歩に出かけました。


雲のない天空。
端から端まで、ずうっと青いいろが、わたしたちの上にひろがっています。
それでも、台風が近づくのでしょうか、海の草原の防波堤では、風が

「びゅーびゅーびゅー、びゅーびゅーびゅー」

 と吹きとびました。


その風の中で、ピピは 

「ぴゅいっ」

 と、防波堤にとびのりました。

防波堤には、茅(かや)の長い茎がおおいかぶさるように茂っています。
ピピはその茅の下、防波堤の上の狭いすきまを

「するする」

 と抜け、わたしが行けないどんどん先の、先のほうまで歩いていくのでした。

 

 

 こんな、ピピとの夏の散歩は、ほとんど日が落ち、地面の熱がさめる時をえらびました。
その時間、草原は長く伸びた草の影でいっぱいです。

草は高く、たかく、ぎっしりと育ち、あちこちになぜか円を描き、その円の中を埋めて集まっていました。
まるで、巨人たちが今夜の大宴会のために、いくつもの丸テーブルを並べているみたいです。

 

少し離れた場所では、おおきな鷺(さぎ)の子が、逆光の中ですっくりと頭をもたげて厳かに、それでもとても謙虚な様子で、静かに立っていました。
その姿は、ちょっと首長恐竜みたいです。


この夏の草原では、わたしたちはとても、とてもちいさく見えるのでした。