ブログで本の感想や映画評を読んだこと、そして何より、知人のおひとりが水墨画の大家で、時々アップされる水墨画で、墨一色の世界の奥深さを教えて頂いていたことがあって、興味を引かれた。

「線は、僕を描く」

https://senboku-movie.jp/

絵画展設営のアルバイトで、大学生の青山霜介(横浜流星)は椿の水墨画に気付いて釘付けになり、目に涙を浮かべる。声を掛けたのは水墨画の巨匠・篠田湖山(三浦友和)。

「弟子になれ」と強引な篠田に面食らう霜介だが、断り切れず水墨画教室に通うことになる。湖山の孫の若手水墨画家・篠田千瑛(清原果耶)は薔薇の絵に打ち込んでいるが、もう1つ納得のいく絵が描けないでいる。そこに霜介を押しつけられて面白くない。

おずおず始めた水墨画だが、霜介はやがてのめり込む。友人の古前巧(細田佳央太)や川岸美嘉(河合優実)は、大学で水墨画サークルを開いて応援する。

霜介の妹の名が「椿」だったこと。彼が親子喧嘩をしたままで進学のため家を離れ、直後に洪水で家族を失い、妹の最後の電話にも出られなかったという痛み。水墨画は、彼の喪失と後悔からの再生の力になっていく。

外国人賓客のために開かれたパーティで、大作を描くはずの湖山が現れず、その場を救ったのは、篠田家の台所を預かる一番弟子の西濱湖峰(江口洋介)。評論家の藤堂翠山(富田靖子)がピリッと締める。

とても品よくまとめられた青春ものに、奥行きを与えるのが水墨画の世界。でもね、霜介の涙は「椿」の絵で妹を思い出したからだし、練習したからって霜介がアッという間に上手くなったり、よほど才能があったのかな。

(中学生の頃だったか母に筆を持たされて、四君子の蘭と竹だけ手ほどきを受けた。スーッと描いたはずの蘭の葉が揺れたり、下から上へ勢いよく筆を動かしたはずの竹がボサッとしたり、お手本や自分のイメージと腕前の差のある事よ…矢印(右)才能がないだけ)

何分「ノベンバー」とか「冬の旅」とか強烈なインパクトのある作品を見た後だったので、何とも優しく淡く、上品な作品でした。気持ちよく見ることが出来たから、良しといたします。★はオマケの4

原作を書いたのは、水墨画家の砥上裕将氏。
https://news.line.me/detail/oa-rp13691/e7b3e649ae2c

映画で描いている蘭と菊