「ハムネット」シェイクスピアの家族の愛と悲哀
「ノマドランド」のクロエ・ジャオ監督が、ウィリアム・シェイクスピア(1564-1616)の『ハムレット』を映画化、製作には巨匠スティーブン・スピルバーグ、そして「007」シリーズなどで知られるサム・メンデス…となると、観たいと思うでしょ。もちろん「ハムレット」は本で読んでいるし、演劇も観たことがある。しかしこの映画については、主役はハムレットでもなく、シェイクスピアでもなく、彼の年上妻のアグネス(ジェシー・バックリー)だった。「ハムネット」https://hamnet-movie.jp/森の中で昼寝から目覚めたアグネスは、なんと鷹使い。空の鷹を呼び、腕に止まらせる。それを見たラテン語の教師ウィリアム(ポール・メスカリ)は、野性味あふれ魔女ともいわれる彼女の魅力に惹かれる。アグネスが妊娠し、2人は結婚。娘が生まれ、次は双子。男の子はハムネット(ジャコビ・ジュープ)と名付けられ、ふっくらと愛らしい顔立ちの子供に育つ。ハムレットも、せっかく11歳に育ったのに、ペストで亡くなってしまう。その時ロンドンにいて不在だった夫ウィルをアグネスは責めたてる。気持ちの持って行きようがなかったのだろう。この辺り、見ていて少しつらい。この時代はたくさん産まれ、幼いうちに沢山亡くなったのだろう、ペストの流行は黒死病と恐れられた。…それでも親は子供の死に慣れるなんてことは無かっただろうと。そしてウィルは、愛児ハムレットの喪失の気持ちを、劇作に込め、父王を自ら演じる。反発するアグネスだったが、「ハムレット」の上演を観てやがて引き込まれ…あの手、亡くした子の魂をこの世に引き留めたい親の心が溢れていた。舞台でのハムレット役ノア・ジュプは、ハムネット役のジャコビの兄だった。To be, or not to be, that is the question の有名なセリフもあります。こちらは出演者たちが語るロケ地は英国のヘレフォードシャ―、最初の画面のハーフティンバーの家々は、ウィオブリー。ロケ地ガイド https://bcij.jp/ctg/film/32703.htmlハムレットが上映されたシーンのグローブ座は、4分の3スケールで再現されたそうだ。子供を亡くしたことは無いし、子供たちもう大人になって家庭を持っている。それでも子供を先に亡くすよりは、自分が先に死ぬ方がどれだけ良いか…と思う。ハムレットへの哀切な別れの言葉は胸に沁みた。「Adieu, adieu! Hamlet, remember me.」