フロドがどんな困難を乗り越えて指輪を処分できたのか、それを映像ではどのように描いているのか、1「旅の仲間」、2「二つの塔」、3「王の帰還」で旅は終わる。

「ロード・オブ・ザ・リング/

王の帰還〈4Kリマスター版〉」 ★4.5

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スメアゴル=ゴラムが、どうやって指輪を手に入れたかの話で始まる。仲良く釣りをしていた友人なのに…。もうここで指輪の魔力はスメアゴルを狂わせている。

ホビットのフロド(イライジャ・ウッド)は、ひたすらモルドールの火を噴く山を目指す。指輪を投げ入れてその魔力ごと消滅させる責を負って。

命懸けでフロドに付き添うサム(ショーン・アスティン。この2人にまとわりついて指輪「愛しいしと」を奪う機会を狙うゴラム。

今までドジばかり、守られる側で道化役のピピン(ビリー・ボイド)とメリー(ドミニク・モナハン)のホビットたちも大活躍。ボロミアの父親のローハンの執政に仕えたり、戦では甲冑まで着込んで英雄的に頑張る。

ローハンの防戦でも、最終戦となるミナス・モリスの戦いでも、その地の王や軍に押し寄せる冥王サルーマンの軍勢に対し、魔法使いガンダルフ( イアン・マッケラン)、人間の王の血筋のアラゴルン(ヴィゴ・モーテンセン)、ドワーフのギムリ(ジョン・リス=デイヴィス)、エルフのレゴラス(オーランド・ブルーム)らの勇猛果敢な活躍が描かれる。

フロドは指輪をねらうゴラムのそそのかしと指輪の魔力も影響してか、忠実なサムを疑い「帰れ!」とまで言う。

それでもサムはフロドを支えようと追っていく。ゴラムのモルドールへの道案内を信じて大蜘蛛に襲われて瀕死のフロド。

「帰りの食料は要らないでしょう」というサムは、火の山によじ登るフロドに最後の水を与え、ゴラムに惑わされて指輪の力に負けそうなフロドに渾身の叫びをあげ…サムの忠実さは胸に響く。

ゴラムは最後には「愛しいしと」を手に入れたのだから、運命がどうであれ満足を味わったことだろう。
火の山の溶岩の激流に、フロドが「サム、お前と一緒に死ねてよかった」と告げるシーンは切ない…。

本ではホビットの庄ではトラブルが起きているが、映画ではバッサリ。スッキリとうまくまとめている。

最後に船でエルフやガンダルフと共に、フロドが旅立つのは、もうホビット村の平和な暮らしには耐えられないくらいの深い心の傷をこの旅で受けたのだろう。かつての指輪の持ち主の老いたビルボ・バギンスも共に行く。

一方、サムは旅立つ前から愛していたロージーと結婚し、子供も生まれ、野菜を作り、花を植える村の平和な暮らしに戻っている。いかにも実直なサムらしくて温かな気持ちに包まれた。

3編を通して、サムが指輪のすぐ近くに居ながら影響を受けにくいのは、彼の落ち着き、誠実さ、謙虚さが、権力欲とは遠いところにあるからだろう。

3部作を見終えて、ファンタジーの物語世界をたっぷり楽しんだ気分。撮影はニュージーランドで行われ、ホビット村は残っているとか。私の身長でもぶつかるのか、行ってみたい。