前回の映画ダウントン・アビーは、王様の訪問がテーマだった。アイルランド出身で共和主義者のトムをめぐる話や、トーマスの苦しみなども描かれていたが、伯爵家の召使と王の一行の召使たちの対立という、あり得ないような設定には幾分興を削がれた。



ダウントン・アビー/新たなる時代へ」

 


https://downton-abbey-movie.jp/

今回は面白い! 1828年、亡くなった三女シビルの夫トム(アレン・リーチ)は、モード・バグショーの娘ルーシー(タペンス・ミドルトン)と結婚式を挙げる。モードはヴァイオレット(マギー・スミス)の従妹。

宴の喜びの一方で、メアリー(ミシェル・ドッカリー)は、屋根の修理費が必要と、胸を痛めていた。そこに映画の撮影の申し込み。高額の謝礼にメアリーは受け入れを決め、父のグランサム伯爵ロバート(ヒュー・ボネヴィル)や、執事カーソン(ジム・カーター)は苦い顔だが、使用人たちはスターに会えるとワクワク。

時はサイレント映画からトーキーに移る時代。ここが面白い。サイレントの予定で撮影を始めたが、トーキーに切り替えられ、なんとモールズリー(ケヴィン・ドイル)が思わぬ才能を発揮。貴族のお嬢様役の我儘な女優は、下町訛りが取れない。で、代わりの吹込みは観てのお楽しみ。

ヴァイオレットに突然、若い日の一夏の出会いだったモンミライユ侯爵の遺言で、南仏の別荘が譲られる。高齢のヴァイオレットの訪問は無理と、ロバート、コーラ(エリザベス・マクガヴァン)伯爵夫妻と、イ―ディス(ローラ・カーマイケル)夫妻とトム夫妻は、カーソンを連れてリヴィエラに向かう。

侯爵の息子は歓迎するが、侯爵夫人は「結婚前の女性に別荘を贈るとは」と不機嫌だ。そしてロバートは、母ヴァイオレットと侯爵とはどんな関係にあったのか、果たして自分は…と思い悩む。

ダウントンアビーのみならず南仏の光景も明るく、映画撮影と、ヴァイオレットと侯爵との若き日は?と、別荘の謎も含まれ、とても興味深いストーリー。召使のデイジー(ソフィー・マックシェラ)はスターに舞い上がり、同性愛の悩みを抱えたトーマス(ロブ・ジェームズ=コリアー)も思いがけず幸せになれそう。

ただ、いつかこんな日がどこの家にも訪れるのだろうけれど、一時代の終わりを深く感じさせられる。もしかすると、これでダウントン・アビーは終わり?違うよね。

ドレスやテニスファッションなど、衣裳の数々は、毎回の目の楽しみ。



撮影の様子も(解説は要らないんだけど…)