田舎に行っていたり、帰ったら仕事が溜まっていたり、

さて映画にと思ったら、めまいを起こしたり…でやっと行けました。

 

「グリーンブック」 ★★★★★

 

 

 

 

https://gaga.ne.jp/greenbook/

 

実話をもとにしているというこの映画は、その時代で言えば

白人ではやや下にみられていたイタリア人かつ低所得者層の運転手と、

博士号を3つも持つ音楽家という黒人の中のエリートのロードムービー。

 

NYの高級クラブの用心棒トニー・リップ(ヴィゴ・モーテンセン)は、

クラブの改装の間、収入がなくなってしまった。

黒人ピアニストで、なんとカーネギーホールの上階に住む

ドクター・シャーリー(マハーシャラ・アリ)の運転手となる。

 

白人とトリオを組んでいるシャーリーは、

人種偏見の強い南部への8週間の演奏ツアーを計画していて、

そこで腕っぷしの強いトニーを見込んだのだ。

 

出掛けにトニーが渡された小冊子「グリーンブック」とは、

黒人専用ホテルやレストランを紹介した旅行用ガイドブック。

トリオとはいえ白人音楽家の2人は、別のホテルに泊まるのだ。

 

南部の上流階級相手のコンサートは、舞台では拍手で迎えられても、

トイレやレストランは、「黒人専用へ」と、手ひどく差別される。

 

黒人の弾くクラシックは歓迎されないと、黒人音楽や軽音楽を

コンサートで弾かされるシャーリーが、黒人のバーで、

ボロボロのピアノでぶつけるように弾くショパンのエチュード。

 

ガサツで快活なトニーと、洗練された知的なシャーリーは、

旅先で起きる様々な事件の中で、呆れたり、怒りながら、

助け助けられ、徐々に相手への理解を深めていく。

 

最後には、まぁ、威張っていたシャーリーのなんと親切なこと。

ちょっと笑わせて、トニーの奥さんの可愛いこと。

とても気に入ったので、少々気難しい連合いにも大いに薦めました!

 

1つ心から離れないシーン。車を停めたのが農場の傍。

そこで働く黒人たちが、1人、2人とみんな寄って来て、

白人運転手の後部座席に座る黒人シャーリーを眺めるシーン。

 

日々変わらぬだろう労働に明け暮れる彼らの胸には、

どんな思いが去来したのだろうか…と。

 

モーテンセンの主役級の作品は、2本観ていた。その時の日記。

「はじまりへの旅」で野性味あふれる父親を演じ、

https://ameblo.jp/ameoyoyo/entry-12284086663.html

 

「涙するまで、生きる」は、知的なフランス人教師を演じた。

この映画もすごく良かった。原作はカミユ。

https://ameblo.jp/ameoyoyo/entry-12032698883.html

 

これが太って、陽気でがさつなイタリア人を演じるとは!

モーテンセンとはっきり分かりながら、これだけ演じ分けられるのね。

 

この映画の舞台、1962年の2年後の夏に、初めてアメリカに行った。

南部には行かなかったが、ロス、ペンシルバニヤの田舎町、

ワシントンDC近くのベテスダ 、NY近郊のオールドグリニッジ。

4軒のホームステイ先は、私から見ればみな白人家庭だった。

 

でも、「妻はアイリッシュ」とか、「訪問先はジャーマン系よ」とか、

「曾祖母はインディアン(ネイティブ)だから、私の8分の1は…」とか、

声を潜めて「あの家はジューイッシュ、宗教の話はしない方が…」とか。

私には同じアメリカ白人に見えるのだけれど、重大らしい?と思った。

 

「グリーンブック」を見て、あの時、交換留学生の受け入れ家庭が

東部と西部だけだったのは、南部アメリカでは黄色人種の私たちは、

もしかすると、結構難しかったのかな? 面倒を回避したのかな?と。