しみじみといい作品です。★★★★★

飯田橋ギンレイの2本立ては大当たり。18日までです。


港町マルセイユ、造船所に働き、労働組合の長で、

不況のために、 20人のクビ切りを任された

ミシェル(ジャン=ピエール・ダルッサン)は、 公平に…と

くじ引きで決め、自分も当って退職をする。

同僚や子供夫婦はお金を捻出して、パーティで、

旅行チケットを送る。 それは、アフリカへの旅だった。

でもその夜、強盗が入って、お金もチケットも奪われる。
しかも、ミシェルが突き止めた犯人は、

2人の弟の世話をする元同僚。


くじ引きに当たって、仕事を失い、

生活費に困った末の犯行だった。

妻のマリ=クレール(アリアンヌ・アスカリッド)も、ミシェルも、
犯人が捕まっても心が弾まない…。

この夫婦、強盗時に居合わせた妹夫婦、

お金を捻出した子供たち夫婦、 それぞれの気持ちは

少しずつズレたりもするけれど、 夫を思い、妻を労わり、

親を心配する気持ちは温かく伝わる。

そして「哀れな人々」(着想を得たという

ヴィクトル・ユゴーの長編詩)への、
思いやりの気持ちが深く伝わってくる。


最後のアフリカの動物たちを「見る」シーンに、

ほのかなユーモアも。


例えば、「ル・アーブルの靴みがき」や 「少年と自転車」

などの作品がお好きな方には、しっかりお勧め。

目の前の困っている人には、

手を差し伸べずにはいられない人たち。

そういう人って、たとえ小さい光でも、

この厳しい社会を、片隅から明るくしてくれる。

こんな夫婦でありたいな…と願ってしまった。
よし、連れ合いにも「時間を見つけて見に行けば」って、

しっかり勧めておこう。


ん?待てよ、あのすてきな妻のマリ=クレール…

う~ん…ヤブヘビかも…迷うところ…