少年と自転車
http://www.bitters.co.jp/jitensha/


とても心を動かされた作品だった。全ての教師や親、

ことに男の子を持つ親に観てもらいたい思いを込めて。★★★★★

愛情に飢えるって、こういうことか…と。

父親に1カ月の約束でホーム(児童養護施設)に入れられた少年シリル(トマ・ドレ)。
その後父親は引っ越して、連絡もない。彼の大事にしていた自転車もなくなった。

ホームの先生に追いかけられ、診療所にいた女性にしがみつくが引き離される。
その女性が、シリルの自転車を見つけて買戻し、届けてくれた。

そしてシリルは、「週末だけの里親になって」と、
その女性サマンサ(セシル・ドゥ・フランス)に頼み込む。


父親に「来るな」と言われても、会いたいと渇望し、
サマンサに水道の「水を止めて」と言われても流し続け…

美容師のサマンサとそのボーイフレンドは、シリルに振り回される。
サマンサは彼に「その子と僕のどっちを選ぶんだ?」と迫られる。

親に捨てられて深く傷ついた少年の行動は、一筋縄ではいかない荒れた様を見せ、
肌がひりつくような痛みを感じさせる。

オーディションで選ばれたというシリル役のトマ・ドレの演技は、
孤独な少年が、父親の愛を渇望し、絶望に打ちひしがれるさまを表して見事。

さすが、ダルデンヌ兄弟の作品、余韻がいつまでも心に残る。