宇都宮
南龍翼
縹渺仙宮掲宇都
宛然風物小蓬壺
津欠大里連長路
陸奥雄州接勝区
漢使乗槎終豈到
秦皇度海足応濡
至今杜老無遺恨
踏尽扶桑地一隅
幽妙なる仙宮は宇都と名付けられ、
その風景はあたかも小さな蓬莱に然り。
津欠大里は長い路に連なり、
陸奥の雄藩がこの名勝に接する。
漢の使節が筏に乗ってきても終にどうして至ろうか。
始皇帝は海を渡らんとして足を濡らしただけであろう。
今に至っては杜甫が詠み残した憾みはなかろうが、
私はこの扶桑(日出づる国・日本)の一隅を踏破せり。
欠 : 欠字
訳 : 五島高資
南龍翼 : 朝鮮通信使従事官・詩人
宇都宮より日光連山と有明の月を望む