公選法136条の2に絡むこの写真を見て、皆様はどうお感じになりますか | 佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

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(2年以上、このブログをほったらかした後、昨年の年の瀬に、ようやく、投稿を再開するに至りました。以前は、あの法律の何条何項がどうのこうのという、読む気をそそらないことこの上ない投稿が多かったと反省し、再開するに当たり、「そういう投稿は、しばらくは、しないようにしよう」と思ってやって参りましたが、今回は、統一地方選の最中ということで、公職選挙法第136条の2について、書かせてください。)

 

 

 政治資金規正法は、よく、「ざる法」と呼ばれていますが、公職選挙法(公選法)は、お題目を並べているだけの「お題目法」なのかと、思うことがあります。公選法136条の2は、「公務員等の地位利用による選挙運動の禁止」という題名が付けられています。「全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない(憲法15条2項)」公務員は、その地位を利用して選挙運動をしてはならないことになっていて、違反すると、2年以下の禁錮又は30万円以下の罰金に処せられることになっています(公選法第239条の2第2項)。スーパーに行くと、「万引きは犯罪です」と書かれたポスターを見かけることがありますが、公務員等が、その地位を利用して選挙運動をすることは、犯罪です。

 

 公選法136条の2がマスコミなどで話題になった、最近の事例としては、2017年の都議選の選挙運動期間(候補者の届出のあった日から選挙期日の前日まで)における、稲田朋美防衛相(当時)の、自民党候補応援演説での「防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としても、お願いしたいと思っているところだ」発言があります。「こんなの、一発アウトだ」と、僕は思っていますが、今日、書かせていただきたいことは、別のことなので、この事例には深入りせず、前に進みます。

 

 全体の奉仕者であつて一部の奉仕者ではない公務員は、その地位を利用して選挙運動をしてはならないのですが、安倍晋三氏が2017年の都議選で応援演説をしているこの写真を見て、皆様は、どうお感じになりますか。こちらも、「こんなの、一発アウト」だと、僕は思っています。国家公務員法2条3項(の、特に、9号)に関し、「国会議員は、公務員なのか否か」という議論があるそうですが、内閣総理大臣は、100パーセント、特別職の公務員です(因みに、「国会議員も、100パーセント、特別職の公務員である」と、僕は確信しています)。

 

 自民党の街頭演説カーの演説台に登壇し、「中村あや候補の友人の安倍と申すものですが、応援演説をさせていただきます」と言って、応援演説と呼ばれる選挙運動をするだけなら、多少、言い逃れをする余地は残されているかも知れませんが、上記URLの写真を見ますと、白昼堂々、大きな字で「内閣総理大臣 安倍晋三」と書かれた垂れ幕を掲げて、応援演説と呼ばれる選挙運動をされているようにしか、僕には見えません。

 

 一国の首相が、その地位を利用して、「内閣総理大臣の俺様、いや、私は、○○候補を応援しています。是非、皆様も、○○候補を応援してください。皆様の清き一票を、是非、○○候補に、お願いします」という旨の応援演説を行い、公選法に違反しても、何のお咎めもない。

冒頭で、「公選法は、お題目法なのか」と書かせていただいた所以(ゆえん)です。

 

 長くなってすみません、私事になりますが、僕が、3年前の2016年7月4日の午後、参院選の候補者として、慶應義塾大学日吉キャンパスと東横線日吉駅の間の公道上で、選管から交付された薄緑色の標旗を掲げて街頭演説をしようと思い準備をしていたら、「この辺りは、間もなく、麻生大臣が応援演説にくるので」と、警備をしている人に言われました。なので、少し場所をずらして、街頭演説をさせていただきました。

「大臣が、大臣として、応援演説をしたら、公選法違反だろ。麻生さんが、どうしても、応援演説をしたいのなら、単なる一日本国民として、公金(公金のうちのほとんどは、私達の納めた税金です)で賄われた警備を付けずに、丸腰でやって来いよ。丸腰でやれないのなら、街頭で応援演説をせずに、然るべき施設内で、応援演説をやってくださいよ」と、心の中で思いましたが、小心者の僕は、何も、言えませんでした。

 

 

神奈川県横須賀市にて

佐藤 政則

 

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