少し昔、僕が、社会保険労務士試験の受験勉強をしていたとき、労働社会保険諸法令(社会保険労務士法2条1項)に含まれる法律で、「次世代育成支援対策推進法」(平成15年法律第120号)という名称の法律があることを知り、誤植ではないかと感じ、その名称に強い違和感を覚えたことがありました。どう考えても、「次世代育成支援策推進法」とすべきところ、誤って「対」の字が紛れ込んだとしか、思えなかったからです。
言葉から受ける感じ、語感は、個人によりそれぞれであり、同一ではありませんが、僕の言語感覚では、どう考えても、「子育て支援」という言葉と「対策」という言葉は、結び付きません。インフルエンザ対策、花粉症対策、津波対策などなど。対策を講じなければならない深刻な事態が発生したので、それに対処していくということでしょう。
かなり昔、王貞治福岡ソフトバンクホークス会長が現役のころ、(強打者である)王選手対策という意味で、「王シフト」という言葉がありました。これは、王選手が打席に立ったときに、相手チームの選手が、王選手の打球の傾向を勘案した守備位置に付くことを、指します。
「以前と比べ、子育てに困窮する人が増えているので、地方公共団体や事業主が支援する体制を整えて参りますので、ひとつ宜しくお願いします」と仰りたいのは、重々承知して居ります。が、「子育て支援対策」と言ってしまえば、支援を受ける側である子育て困窮者は、どう感じるでしょうか。行政が中心になって対策を講じなければならない深刻な事態を発生させた私達は、(球界一の強打者であるが故に、王選手が相手チームにとって「厄介者」であったように)社会の厄介者なのか。そう感じるのではないでしょうか。
あれっ、出掛ける準備をしなければならない時刻になってきました。介護予防、ゲートキーパー、パラリンピックという語についても、申し上げたいことは、ほぼ「上に同じ」です。「オチは無いんかい」という声が聞こえてきそうですが、ここで失礼します。
神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則
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