宗教や精神の世界などでは、よく、時の流れの切っ先である今この一瞬、刹那を大切にするという意味合いで、「今ここに生きる」や「今ここを生きる」という表現があるようです。もちろん、それはその通りで、エーリッヒ・フロムの『To Have or To Be?』(邦題は『生きるということ』)を持ち出すまでもなく、この一瞬は大切で、この一瞬以外に、決断し決断したことを実行する、つまりは、生きることのできる機会はありません。
そして、この一瞬を大切にしながら生きるためには、当然のことながら、この一瞬の快楽、目先の得に溺れることなく、自分の現在位置を心得ておくべきでしょう。自分の現在位置が分からなければ、只々、言われたことを鵜呑みにし、自分が放り込まれている状況に流されて、流されていることにも、また、バランスを失っていることにも、気付かなくなるのではないでしょうか。もう少し、直截簡明に申し上げれば、洗脳されやすくなるのではないでしょうか。
先ほど、現在位置という言葉を使いましたが、空間における現在位置と、時の流れにおける現在位置の両方を念頭に置いて、使いました。自分や自分の近くに存在する人々(人々を国に、言い換えていただいても一向に構いません)の過去と未来、及び、自分から遠いところに存在する人々の過去と未来に思いを致しつつ、空間上、かつ、時系列上の自分の現在位置を確認する。
そうしないから、大資本の息の掛かった報道媒体(news media)経由の情報を鵜呑みにし、自分が置かれている状況に流され、バランスを失っていることに気付かない。益々、劣化していく政治の状況を見て、日々そう感じています。
神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則
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