同じことを繰り返し申し上げ、芸がなく、お恥ずかしい限りですが、我が国の首相のいわゆる衆議院解散権は、国会の暴走に対する歯止め、抑止力であって、衆議院議員総選挙の時期指定権ではありません。
我が国の公職選挙において選挙権を有する者、いわゆる有権者は、衆院総選挙では、「この候補者に、4年間、全国民を代表する選挙された議員(憲法43条1項)として働いてもらうことは、この国を住みやすい国にしていくことに繋がるのか、繋がらないのか」を、じっくり考えた上で、誰に投票するべきかを、もしくは、誰にも投票すべきでないのかを決めている、はずです。
蛇足ですが、選挙権も被選挙権も、権利ですので、その権利を行使するかしないかは、その権利を有する者の裁量に委ねられています。投票所に行き投票をすることは、義務ではありません。
本題に戻ります。なので、「前回の衆院総選挙の際に、散々、触れて回っていた、一般に『選挙公約』と呼ばれるものから逸脱したことを、行ったから、もしくは、行うと決断したから」ということを理由にして、首相が、衆議院の解散を、閣議で決定することは、ある意味で「勇み足」です。
基本を申し上げれば、「内閣不信任決議案が可決、もしくは、内閣信任決議案が否決されそうになる、更には、内閣が提出した法案(閣法)が国会で否決される」ということが起きない限り、首相は、国会の暴走に対する抑止力である衆議院解散権を行使すべきではありません(憲法69条)。
なぜなら、衆議院議員が、前回の衆院総選挙後における情勢の変化を踏まえ、「首相が、選挙公約から逸脱することは、望ましいことである」と判断し、内閣不信任決議案も内閣信任決議案も提出しないのであれば、それは、取りも直さず、内閣が信任されていることを、意味するからです。
結構な長文になってきましたので、「つまり、参院選が近いこの時期に、わざわざ、ダブル選挙をちらつかせ、野党の参院選準備を撹乱させることは、品のない、下劣な手法です」と申し上げ、続きは次回ということに、させてください。
神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則