合衆国憲法第2章2条1項の抜粋
大統領は、合衆国の陸軍および海軍ならびに現に合衆国の軍務に就くため召集された各州の民兵団の最高司令官である。
合衆国憲法修正2条(1791年成立)
規律ある民兵団は、自由な国家の安全にとって必要であるから、国民が武器を保有し携行する権利は、侵してはならない。
日本国憲法66条2項
内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。
自衛隊法7条
内閣総理大臣は、内閣を代表して自衛隊の最高の指揮監督権を有する。
自衛隊法61条2項
隊員は、公選による公職の候補者となることができない。
冒頭から長々と法令条文の引用が続き、申し訳ない限りですが、今一度、「敵から、国民の生命及び財産を守る」ことについて考えてみたく思い、引用させていただきました。先に結論を申し上げると、「自衛隊の最高の指揮監督権を有する官職」に就任する者の前職が何であろうとも、一旦、その官職に就任すれば、その者は文官ではないので、上掲の憲法66条2項は、ほとんど意味を成さないと、僕は考えています。
米国の国民には、21世紀の今でも、「武器を保有し携行する権利」が認められているそうですが、そもそも、日本国民は、法令上、私人として武器を持つことがない民です。国立国会図書館のウェブサイトによりますと、「『文民』という言葉は当時の日本語にはなく、GHQの文書にあったciviliansという語に対する造語」だそうです。
コートニー・ホイットニー(WHITNEY, Courtney)GHQ民政局長の頭の中にあったのは、おそらく、「陸軍軍人の東條英機氏の存在」だったのではないでしょうか。東條英機陸軍大臣は、1941年10月18日に内閣総理大臣に就任した後も、陸軍大臣を兼任しました。
敵が、国家であってもなくても、「敵から国民を守る」ということは、容易なことではありません。敵、つまり、成らず者が、何を仕掛けてくるか、その全てを想定することは不可能です。従って、具体的にどのようにして敵から国民を守るか、その決断は、最終的には、ことに臨む最高指揮官に一任されることになるでしょう。
仮に、完璧な国際法を人類が作り上げたとしても、現に暴れる成らず者に対し、拡声器で「人類が作り上げた完璧な国際法を、遵守しなさい」と呼び掛けることに、どれほどの意味がありますでしょうか。
浮世離れした法令条文を増やすことは、その法令条文の作者を自己満足させることはあっても、成らず者の暴挙を抑止することには、全く寄与しない。僕は、そう思っています。
神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則