米国の憲法(The Constitution of the United States)は、英語で書かれていますので、正文(=法として有効な文章)は、その英文のみですが、アメリカンセンターJAPANのサイトに、和訳されたもの(前文と本文、修正条項)が、参考のために掲載されています。それを見てみますと、
前文
第1章 立法部
第2章 執行部
第3章 司法部
第4章 連邦条項
第5章 改正
第6章 最高法規
第7章 成立手続
ここまでが、1787年に、この憲法が制定された時点から、存在している部分。
修正第1条から修正第10条までは、"Bill of Rights"と呼ばれる部分で、憲法制定の4年後である1791年に成立。
修正第11条 州に対する訴訟と連邦司法権(1795年成立)
修正第12条 正副大統領の選出方法の改正(1804年成立)
修正第13条 奴隷制の禁止(1865年成立)
修正第14条 市民権、法の適正な過程、平等権(1868年成立)
修正第15条 選挙権の拡大(1870年成立)
修正第16条 連邦所得税(1913年成立)
修正第17条 上院議員の直接選挙(1913年成立)
修正第18条 禁酒修正条項(1919年成立)
修正第19条 女性参政権(1920年成立)
修正第20条 正副大統領と連邦議員の任期(1933年成立)
修正第21条 禁酒修正条項の廃止(1933年成立)
修正第22条 大統領の三選禁止(1951年成立)
修正第23条 コロンビア地区の大統領選挙人(1961年成立)
修正第24条 選挙権にかかわる人頭税の禁止(1964年成立)
修正第25条 大統領の地位の継承(1967年成立)
修正第26条 投票年齢の引下げ(1971年成立)
修正第27条 連邦議員報酬の変更(1992年成立)
ざっと、合衆国憲法を眺めてみたのは、「時が流れ、状況が変化していく中、必要に応じて、条文の追加や修正が為されてきた」ことを、確認したかったからではありません。
「国民の生命と財産を外敵から守るために、領土、領海、領空が、外敵によって侵されないようにする。もし、外敵が、領土、領海、領空を侵し、もしくは、侵そうとし、国民の生命と財産が危険に晒されれば、直ちに、外敵に対して、武力で応じる」ことを、戦後の流行り言葉で言い換えれば、安全保障(security)を、こと細かく規定する条文など、合衆国憲法に存在しないことを、確認したかったからです。
第4章4条に、「合衆国は、侵略に対し各州を防衛する(The United States shall protect each of them against Invasion)」という言い回しが、使われているくらいです。第1章10条3項は、戦争行為に関する州の権限を規定しているだけであり、「米国軍に、交戦権があるとかないとか」に関して、規定している訳ではありません。
動物は、外敵に攻撃されたら、抵抗しようとするか、逃げようとするでしょう。自己保存は、生物の本能です。自己を保存するとは、自己の安全を保障するということです。社会的動物である人類にとって、我が身を守り、仲間の身を守ることは、生物として当然のことです。
1か月半前の投稿で、僕は、例の法律を「変な法律」呼ばわりしましたが、変なのは、僕のほうなのでしょうか。装備の面で警察をはるかに超える組織を保有する国々の中で、あのような「変な法律」を有する国が、他にあるのなら、ご教授賜りたい。そのように、僕は思っています。
神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則