天皇皇后両陛下が、日本との国交が正常化してから60年が経つフィリピンをご訪問され、「比島戦没者の碑」に供花されましたことを伝える記事を読み、僕は、昨春伺いました三ヶ根山を、思い出しました(比島は、フィリピン諸島のこと)。
三ヶ根山は、愛知県の西尾市、額田郡幸田町(こうたちょう)、蒲郡市に位置し、山頂付近に殉国七士廟が建立されている山です。この殉国七士廟の近くには、グリーンホテル三ヶ根という観光ホテルがあります。
昭和天皇と香淳皇后が、昭和54年5月、豊田市で行われる植樹祭にご臨席される折、わざわざ、豊田市から直線距離で30kmほども離れているこのホテルにご宿泊されてから豊田市に向かわれましたことは、ある程度有名な話ですが、皇后陛下も、昭和54年11月、皇太子妃であられましたときに、紀宮清子内親王(現在、黒田清子さん)と共に、このホテルにご宿泊されましたことは、同ホテルの入り口にございます石碑に、記されています(昨春、三ヶ根山へ伺った際、立ち寄って確認致しました)。
三ヶ根山の山頂付近には、三ヶ根観音(太山寺)もあり、その境内には、「比島戦、戦没者50万柱の霊を祭る」比島観音や、多くの慰霊碑があります。
昭和天皇、香淳皇后、皇后陛下、黒田清子さん、どのお方も、殉国七士廟や比島観音にいらっしゃることが叶わず、その近くのホテルにてご宿泊されることしか叶わないという、日本の状況。戦後、日本人は、物質的な豊かさを追い求める過程で、大切な何かを置き去りにしてきたようにも、思います。
天皇皇后両陛下の道中の安全、そして、無事にご帰国されますことを、お祈り申し上げます。
神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則