情報化社会(information society)という言葉が、とっくの昔に時代遅れの言葉になってしまうほど、情報伝達技術や情報機器の発達は凄まじく、僕が十代だった頃(1978年から1988年まで)を振り返れば、隔世の感があります。
僕は、十代の頃、英語に興味を持ち、「わざわざ、教材用に編集された英文ではなく、英国人や米国人が、日常、読んでいる英文」が、どのような英文なのか、知りたくて、彼らが読む新聞や雑誌を、入手しようと試みました。当時、僕が住んでいた姫路市で、そういう新聞や雑誌を扱っていたのは、みゆき通り商店街にあった「洋品、洋書の丸善」だけでした。と言っても、取り扱い点数は、限定的でした。
ある同級生が、「神戸の国際会館に行くと、姫路の丸善とは比べ物にならないくらい沢山の洋物新聞、洋物雑誌を扱っている売店(ニューズスタンド)があるよ」と、教えてくれて、ある日、意を決し、国鉄の新快速に乗り、神戸の三宮(国鉄JRの駅名は、三ノ宮駅です。片仮名の"ノ"が入ります)に行ってみました。
実際、「ここは、本当に日本なのか」と思うくらい、外国語の新聞、雑誌があり、「せっかく神戸まで来たのだから、何か買って帰ろう」と思い、読めもしない「インターナショナル・ヘラルド・トリビューン」か何かを、買ったように記憶しています。
その、古い神戸国際会館は、20年前の阪神淡路大震災で全壊してしまい、現在の神戸国際会館は、現代的な高層ビルです。また、今は、わざわざ、都会に出ていかなくても、タブレットPCの中に、"ニューズスタンド(Newsstand)"があり、ポンポンポンとタップすれば、エコノミストも、ワシントン・ポストも、ニューヨーク・タイムズも、入手できてしまいます。
「昭和の人間にとっては、便利過ぎる不思議な世の中になったものだなぁ」と、しみじみ思います。
神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則