世代間扶養は世代間贈与であり、決して保険ではない | 佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

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実態に合わなくなった諸制度を見直し、日本国を良くすることを目指す、政治ブログです。

 本年度の国民年金保険料は、月額15,250円だそうです。社会保険庁改め、日本年金機構のウェブサイトを見れば、そう書かれているので、とりあえず、それを鵜呑みにして、保険料と書きましたが、実は、国民年金の、特に、老齢基礎年金の制度は、どの角度から眺めても、保険の制度ではございません。
同様に、厚生年金の、特に、老齢厚生年金の制度は、どの角度から眺めても、保険の制度ではございません。

 『国民年金法』には、『保険』の二文字が入っていなくて、『厚生年金保険法』には、『保険』の二文字が入っています。このことに関する説明として、一部で、「国民年金には、制度発足時において既に高齢者であった人などを、救済するために、無拠出年金に分類される、"保険料"の支払いを求めない福祉年金の制度があるから」と、言われています。

 たしかに、その通りで、国民年金には、福祉年金の制度が含まれていますが、そもそも、老齢基礎年金も老齢厚生年金も、厚生労働省が盛んに広報されている通り、「現役世代が支払った保険料を仕送りのように高齢者などの年金給付に充てる」という考え方(=世代間扶養を基本とした財政方式で運営されており、決して、保険ではございません。
保険の加入者は、なぜ、保険料を保険会社に支払うのか。自分の保険事故を、保険によって、カバーしてもらう(=補償の対象にしてもらう)ためであって、他人の保険事故を、保険によって、カバーしてもらうためでは、ありません。

 更に根本的なことを申し上げますが、そもそも、生まれて生きて65歳に達すること自体は、決して、保険事故ではございません。もちろん、加齢により、生活に困窮したならば、それは、保険事故でしょうけれど。
因みに、国民年金法の第1条は、「国民年金制度は、日本国憲法第25条第2項に規定する理念に基き・・・」という文言から始まっており、憲法25条1項に関連して申し上げれば、100歳で、かつ、無職無収入でも、潤沢な資産があれば、生活に困窮しません。

 国民年金や厚生年金では、保険料という名で、支払ったり天引きされていますが、世代間扶養は、世代間贈与であり、決して保険ではない。今回は、このことを、是非、ご確認していただきたいと、存じております。


神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則