なぜ、被災地の住民は国に不信感を募らせるのか | 佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

変わらぬ理念の実現を目指し、しくみを修正する。
実態に合わなくなった諸制度を見直し、日本国を良くすることを目指す、政治ブログです。

 先月、宮城県の気仙沼を訪れて以降、改めて、被災県における防潮堤整備に関する記事を、いくつか読んでみて、読むたびに愕然としてしまいました。
2012年の年末に政権を奪還した自民党に対し、「旧態依然とした、いわゆるゼネコン政治が復活し、これでは、昔と何も変わらない。野に下っている間、何を反省したのか」という、ご批判があること自体は、一自民党党員として、もちろん心得ておりましたが、防潮堤整備の状況を見る限り、ご批判の通りであると言わざるを得ず、甚だ心苦しく、申し訳なく思う次第です。

 「三つ子の魂百まで」という言葉がございますが、僕は、子供の頃、瀬戸内海の播磨灘(はりまなだ)からそう遠くないところで過ごし、今も、海からそう遠くないところで暮らしています。
一年を通して、白波が立つことがほとんどない瀬戸内海に、巨額の公金を投入して、本州と四国を結ぶを架す、しかも、東から、徳島、香川、愛媛の各県ごとに橋を架す必要はなく、これらの橋は、古い自民党によるゼネコン政治の象徴であると、僕は感じています。何年後に、耐用年数が過ぎるのかは分かりませんが、耐用年数が過ぎたら、また、巨額の借金をして、架け替えるべきでしょうか。

 先月、気仙沼に伺った際、酒米『蔵の華(くらのはな)』の田植え作業に参加させていただいたのですが、その酒米は、地元の蔵元である株式会社男山本店が地米酒を作る際に、原料となる米だそうです。その男山本店の社長の菅原昭彦氏は、昨夏より、「内湾地区復興まちづくり協議会」の会長も務められていて、防潮堤整備に関する様々な記事を読む限り、「巨額の公金を投入して巨大な防潮堤を建設したい」国(や県)と、「まず、巨大な防潮堤ありき」という国のやり方に疑念を持ち、国に対し不信感を募らせる住民の間で、意見を取りまとめるのに、相当、骨を折り、尽力されたご様子です。
酒米『蔵の華』の田植えのとき、菅原氏も、実際に田んぼに入り、皆と一緒に手植えをされていました。途中、ご挨拶をさせていただき、物腰柔らかな紳士といった印象を受けたのですが、「立場上、吐露できない、政権与党に対する不信感もお有りなのでは」と、思います。

 ゼネコンを含む大企業の大株主の御用政党に、成り下がっていないか。政治家としての信念を、どこかに置き忘れていないか。自民党所属の国会議員、特に、自民党執行部の役員は、よく考えていただきたいです。


神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則