人の世は、結局のところ、いわゆるゼロサムゲーム(zero-sum game)で、便利になり、より多くのものを得るようになったと思っても、全体を見渡すと、それに呼応するかのように何かを失っていて、総和は、さほど変わらないものなのでしょうか。際限ない便利さの追求、それに呼応するかのように、想像力や感受性といったものが、劣化している。日々、そう感じてばかりです。
公的な障害年金、公的な遺族年金の制度を、保険方式で運用することには、多少の理がありますが、公的な老齢年金の制度を、保険方式で運用することに、理はありません。生まれて、生きて、65歳の誕生日を迎えることは、保険事故ではなく、喜ばしいことであるはずです。
恩給法(大正12年法律第48号)とは、似ても似つかぬ労働者年金保険法(昭和16年法律第60号)。昭和19年、保険料収入を増やすために、この労働者年金保険の適用範囲が拡大され、いわゆる労働者以外の者にも、適用されるようになりました。その際に、名称が厚生年金保険に変更され、今に至っています。
要するに、税と戦時公債だけでは、戦費が調達できなくて、保険料名目で国庫にお金を納めさせることを主たる(唯一の、というべきかもしれませんが)目的として、厚生年金保険が誕生した、ということです。
日本たばこ産業共済組合も、日本鉄道共済組合(旧・国鉄共済組合)も、日本電信電話共済組合も、厚生年金保険に移行、統合されました(いわゆる「従前額保障」という旧弊が残存しているので、僕は、完全移行されたとは、決して思っていませんが)。
なのに、なぜ、日本郵政共済組合を、厚生年金保険に移行せず、何も変えずに放っておいて、多くの国会議員(ひょっとしたら、全ての国会議員)は、何とも思わないのでしょうか。
被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成24年法律第63号)、いわゆる「被用者年金一元化法」が、どれほど、国民を愚弄する内容の法律かを書けば、収拾がつかないほど長くなってしまいますので、先送りし、今回はここまでと、させていただきます。
あー、禁煙治療に対する公的医療保険の適用、理研の騒動、なぜか組織名や活動歴があまり伝わって来ない『親ロシア派武装集団』(僕は、ロシア政府の別働隊のような集団だと、9割がた思っています)などなどに触れ、どれほど、日本人の想像力や感受性が、全体として劣化しているかについて、書かせていただこうと思っていましたが、あらぬ方向に突っ走ってしまいました。申し訳ないです。
神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則