「アラブの春」と呼ばれた一連の大衆蜂起。北アフリカのチュニジア、エジプト、リビアなどで独裁的な政権を倒し、民主化運動と呼ばれた動きは、運動と呼べる程まとまった動きではなかったのではないか。もちろん、独裁的な政権下では、ああいう形で民主化を進める以外に、採れる方法があったとは、思えないが。
インターネット上のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のみを介して、一気に広がった人間関係は、その時点では、まだまだ、脆弱な人間関係であったのではないか。日本の、明治維新前後を思い返してみても、「諸国の情勢を分析し、国の在り方を研究し、しっかりとした理念を掲げる者」が民主化運動を束ねず、大衆が蜂起し、独裁的な政権を倒しただけでは、民主的な国家を造ることは難しいと、思う。
1868年に、明治天皇がお示しになられた、五箇条からなる御誓文。「広く会議を興し、万機公論に決すべし」から始まる御誓文の四条目は、「旧来の陋習(ろうしゅう)を破り、天地の公道に基づくべし」であり、五条目は、「智識を世界に求め、大いに皇基(こうき)を振起すべし」である。
戦後、連合国が日本を占領し、米国式の、ややもすれば安直な民主主義を喧伝する、はるか前から、日本は民主主義の国である。
安倍晋三首相は、是非とも、そういうことなども踏まえて、バラク・オバマ大統領と会談し、日米両国の絆を強固なものにしていただきたい。一日本国民として、私は、そう思っています。
神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則