円高ドル安に振れれば、それに合わせて物価が動き、円安ドル高に振れても、同じように、それに合わせて物価が動く。
この世には、未だに、「通貨には購買力というものがあって、円の購買力と、ドルのそれが、均衡せず、一方が他方より強くなれば、両者の購買力が均衡するように、円ドルの交換レートが動く」と思っておられる人が居られる。
「ビッグマックが、日本で300円、米国で3ドルで販売されているときに、交換レートが1ドル=100円でないならば、交換レートは1ドル=100円に収斂されるように推移する、つまり、物価が動き、それに合わせて交換レートが動く」訳では、決してない。
大きな流れ、傾向を申し上げれば、逆である。交換レートが動き、それに合わせて、価格の改定が行われる。
このことは、実は、既に多くの方が理解されている。円高ドル安に振れた後、それに合わせて円高差益還元セールが行われるのであり、「ビッグマックの価格が改定された後、それに合わせて交換レートが動く」訳では、決してない。そのことを、小難しく申し上げれば、前段落の下線部の表現になるだけである。
円ドルの交換は、1973年2月14日(水)に、変動相場制に変更されたそうだ。通貨を投機の対象にするという過ちを、人類が犯してから、40年の歳月が経つ。論語には、「過而不改。是謂過矣(過ちて改めざる、これを過ちと言う)」という言葉がある。
明日、2月14日は、チョコレートを贈ったり贈られたりするだけの日ではない。
神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則