単に人件費を削減する方策は、天に唾する方策である | 佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

変わらぬ理念の実現を目指し、しくみを修正する。
実態に合わなくなった諸制度を見直し、日本国を良くすることを目指す、政治ブログです。

 遥か昔のことになるが、私が上京して、東急世田谷線沿線にあった単身者用の社員寮に転がり込んですぐの頃、その近くに住んでおられた藤田田日本マクドナルド社長(当時)宅に不審な荷物が届けられるという事件があり、上京したばかりの者の性なのか、野次馬根性丸出しで、その近くまで見に行ったことがあった。

 その、故藤田田(ふじた・でん)氏は、毀誉褒貶が相半ばする人物で、氏の著書である『ユダヤの商法』などの影響か、ウイリアム・シェイクスピアの喜劇『ベニスの商人』に出てくる強欲なユダヤ人貸金業者、シャイロックのような人物だったと思われている方もおられるかもしれないが、義理人情を重んじる浪花節的な御仁だったと、私は思う。

 何も、氏が、大阪生まれで、現在の大阪府立北野高校出身だからではなく、生前、「経営者として、従業員に給料を沢山払う会社を目指す」旨を、おっしゃっていたからだ。その実績、結果に関しては、ここでは何も申し上げないが、そういう人物が、一時期、米国マクドナルドの取締役(=director)も務められたことは、奇跡的なことだと、思う。

 製造拠点を、時給1ドル前後の国に移すことを含め、有りと有らゆる手段を講じて、人件費を削減することは、回り回って、全体として、消費に充てるお金を減らし投機に充てるお金を増やす。既に、回り回って、負の循環が強化されている。

 その上、消費税率を引き上げようものなら、どうなるのだろう。私達は、座して死を待つしかないのだろうか。


神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則