他国からの廉価品の大量流入という、産業革命以来の問題 | 佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

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 英国において、産業革命と呼ばれる、製造業における技術革新が起こって以降、今に至るまでずっと、他国からの廉価品の大量流入という問題が、世界の様々な国で、生じてきた。

 日米間で、繊維、鉄鋼、テレビ受像機、自動車、半導体に関し、いわゆる貿易摩擦が生じたときなどは、ダンピング(dumping)という言葉が、頻繁に使われた。dumpとは、要らなくなった物などを、ぞんざいに放り投げること。転じて、ダンピングとは、投げ売り、不当廉売を指す。

 不当廉売は、国際間の取引に限らず、国内取引でも、もちろん、御法度である。私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)の2条9項において、「不公正な取引方法」に該当する行為を、1号から6号に分けて、列挙している。その第6号は、「公取委が指定するもの」と表現されていて、15項目あり、不当廉売は、そのうちの一つである。

 大昔は、1リットルの牛乳を原価割れで販売することは、不当廉売に該当していたように思うが、今は、1円〇〇と銘打って、消費者を誘引しても、何のお咎めもないらしい。話が逸れるが、私が、長年使ってきたウィンドウズ・パソコンを使わなくなった理由の一つは、1円パソコンという販売方法の存在である。
(こんな抱き合わせ販売が許されれば、パソコン価格、回線料金共に、公正な価格形成が期待できない)

 東京都の地域別最低賃金の時間額は、現在、850円、ドルに換算すれば、約11ドルである。上海市の最低賃金の時間額は、約13元、約2ドルである。公正な競争が担保されていない市場は、公正な市場ではない。

 最低賃金格差をそのままにして、関税を撤廃して、市場を、更に不公正なものにしてはならない。そして、そもそも、農林水産業など、自然環境に大きな影響を受ける産業の産品の関税は、最低賃金格差の有無に関わらず、撤廃してはならない。私は、そう思っている。


神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則