購買力が等しくなるようレートが決められているのではない | 佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

変わらぬ理念の実現を目指し、しくみを修正する。
実態に合わなくなった諸制度を見直し、日本国を良くすることを目指す、政治ブログです。

 円ドルの外国為替レート(交換比率)は、7月12日に終値ベースで1ドル80円を割って以降ずっと、70円台後半で推移している。いわゆる円高の状況が続いている。

 急激に、円高もしくは円安が進行すると、この国の蔵相、財務相が、「投機的な変動には、躊躇なく対応する」とか、「過度の円高、円安に対しては、適正な水準を確保するよう、躊躇なく策を講じる」などと、発言することが、よくある。記者等から発言を求められたら、そう答えるように、財務官僚に言われているのだろう。

①投機的な動きによって、まず、外国為替レートが変動する。
②変動した外国為替レートに対応するために、輸入品と輸出品の価格が調整される。
③その結果、自国の通貨と他国の通貨の購買力が、ほぼ等価になる。


 輸出業者でも輸入業者でもない投資家と呼ばれる者が、安く買ったものを高く売って儲ける、つまり、利ざやを稼ぐために、外国為替市場に投機マネーを投入する。その結果、円高になれば、輸入肉や輸入小麦で作られるハンバーガーが値下げされる。円安になれば、そういうハンバーガーが値上げされる。値下げや値上げが行われた結果、自国の通貨と他国の通貨の購買力が、ほぼ等しくなる。

 財務官僚が読んだ教科書に何と書いてあるかは知らないが、順番を、よく確認して欲しい。円とドルの購買力が等しくなるように、外国為替レートが決定されているのではない。投機マネーによって外国為替レートが決まり、そのレートに合わせて価格調整が行われ、円とドルの購買力が等しくなる。

 変動相場制に移行されてから約39年。財務官僚は、本当に、このカラクリに気づいていないのだろうか。


神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則