ラジオが普及した。テレビが普及した。インターネットが普及した。携帯電話機を中心にして、モバイルコンピューティングが普及した。当然のことながら、その度に、新しい種類の機器が発売されてきた。
しかし、テレビが普及したからといって、ラジオ受信機が使えなくなった訳ではない。インターネットが普及したからといって、テレビ受信機が使えなくなった訳ではない。
過去7年半、地上波アナログ放送と地上波デジタル放送が、共存してきた。もし、地上波アナログ放送が人気がなく不評で、地上波デジタル放送が人気があり好評ならば、強制的に地上波アナログ放送を停波して、強制的に、地上波デジタル放送に対応した受信機を買わせようとしなくても、受信機の買い替えは進むだろう。日本は、自由を重んずる国である。なぜ、わざわざ、3800億円もの無駄金を投じて、強制的に、地デジ化を進めてきたのだろうか。
放送される映像の画質は、向上した。そして、インターネットで簡単に得ることができる情報のうちのごく一部の情報が、インターネットよりはるかに使いづらいデータ放送でも、得ることができるようになった。
結局、放送される映像の、作品としての質が、向上した訳ではない。むしろ、作品としての質は、低下した。つまり、心待ちにして見る番組、テレビの前に釘付けになって見る番組は、少なくなった。
そして、一つのテレビ局会社や団体に、複数のチャンネルが、過剰に割り当てられている。既に、BSデジタル放送の枠もあるのに、である。そして、デジタルテレビ受信機のリモコンを見れば明らかなように、様々な過剰機能が、デジタル放送に盛り込まれている。
これが、現在の官僚の姿であり、官民なれ合いの姿である。結局、誰も書かないので、あえて書かせていただいた。
神奈川県にて
佐藤 政則