横須賀に住んでいるからという訳ではないが、ほぼ、週に一度の割合で、カレーライスを作っている。作っていると言っても、実際に、米を炊いてくれるのは炊飯器であり、また、香辛料を調合する技を持っていなくて、調合済みのいわゆるカレールーを入れるだけなので、説明書き通りにプラモデルを組み立てているようなものである。
仮に、材料は、牛肉100g、人参100g、じゃがいも100g、玉ねぎ100g、カレールー100g、水400g、米100gの、合計1kgで、カレーライスを作ったとする。そして、私が購入した牛肉に、国の暫定規制値(1kgあたり500ベクレル)を超える放射性セシウムが含まれていたとする。
国の暫定規制値とは、いったい何だろうか。国の暫定規制値を超える放射性セシウムが検出されて、なお、「そういう放射性セシウムが検出された牛肉を、毎日○○グラム、□□日間、食べ続けても、△△をしたときと同程度に被曝するだけなので、安心して欲しい」などと、おっしゃる人が、行政府の中におられる。何をおっしゃりたいのか。全く、意味不明としか言い様がない。
人は、牛肉だけを食べて生きている訳ではない。人参も、じゃがいもも、玉ねぎも、カレールーも、水も、米も、口に入れる。
高濃度の放射性セシウムを含む稲わらを、えさとして与えられた肉牛の肉が、汚染されているということは、当然のことながら、そういう稲わらの周辺で栽培された人参や、じゃがいもや、玉ねぎや、米や、そういう稲わらの周辺で採取された水や、そういう稲わらの周辺で製造されたカレールーも、程度の多少はあっても、汚染されている可能性が高い。
だから、とりあえず、全食品を一律、「1kgあたり500ベクレル」という値で、暫定的に規制をしている。米などの、全ての食事における構成比が高い食品、つまり、しょっちゅう食べる食品は、もっと低い値で規制をしなければならない。逆に、たまにしか食べない食品の規制値は、もっと高くても構わない。
農水省は、例年、7月末と8月末と9月末に、水稲の作柄概況を公表している。本年は、秋に収穫する米が、全量、出荷できるかどうかを見極めるために、放射性セシウムの値も、順次、公表していただきたい。
神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則