前回の投稿で、「東地特捜349号という番号が付された書面を書いた公務員の刑法193条違反に関して、告発状を提出すべきかどうか、思案中である」と、書かせていただいた。思案した結果、そういう告発状は、提出しないことにしました。
そういう告発状を提出することは、菅内閣の総辞職という目的の達成に、寄与するまでに、時間がかかり過ぎる。被災されて、今、絶望の淵にある人にとってみれば、時間がかかり過ぎる行為など、何の意味も無い。なので、そういう告発状は、提出しないことにしました。
また、私は小心者なので、争いごとが苦手である。そもそも、これ以上、被告発人の合計人数を増やすことに、耐えることができる強い精神は、持っていない。
ならば、どうするか。4月27日に、『私が提出いたしました告発状の争点は、財政法4条1項(注1)の中の「財源としなければならない」の解釈だと、考えています』と、書かせていただいた。「財源とする」という行為は、どの時点で、完成するのか。
「公債又は借入金以外の歳入を以て、歳出の財源としなければならない」に違反する行為は、財政法4条1項但し書きに基づかない公債又は借入金による収入が、ほんの僅かでも盛り込まれた予算を制定した時点で完成すると、私は判断している。「財源とする」という日本語は、そういう意味だと、私は判断している。予算を制定するとは、「一会計年度において、どういう支出を行うかを決め、何をその財源とするかを決める」ことではないのか。
しかし、そこにこだわる必要は、全くない。「公債又は借入金以外の歳入を以て、歳出の財源としなければならない」に違反する行為は、公債を現に発行した時点で完成するとしても、または、公債を現に発行した後にその会計年度を終えた時点で完成するとしても、国会議員の行為が刑法193条(注2)に該当していることには、なんら影響を与えないからである。
主副でいうなら、刑法193条が主で、財政法4条1項は副である。
「財政法4条1項に違反する予算を制定し、それを、各省各庁の公務員に執行させているから、刑法193条に該当する」と、申し上げてきた。次は、「財政法4条1項に違反する行為を行わせる年次予算を執行する義務は、各省各庁の公務員にない。義務のないことを行わせていることは、明らかである」と、申し上げる。
予算とは、予め決定した、一会計年度における収入と支出に関する計画である。予め決定していない項目は、予算の一部ではない。
私は、学者ではなく、実を重んずる者である。非常時の今、一刻も早く成果を出すことが大切である。時間がない。疲れ気味だけれど、明日の午後、東京に伺います。
神奈川県鎌倉市にて
佐藤 政則
(注1)財政法第4条第1項
国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。
(注2)刑法第193条
公務員がその職権を濫用して、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害したときは、二年以下の懲役又は禁錮に処する。