福田康夫氏の「あなたとは違うんです」発言を再考する | 佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

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 ほぼ1年ごと、いや、場合によっては1年未満ごとに、首相が交代するので、もうかなり昔のことのように思われるが、福田康夫元首相が、首相辞任を表明する記者会見の場で、記者に、「総理の会見は、他人事を話しているように聞こえる」と、指摘されて、間髪を入れず、「あなたとは違うんです」という内容のことを、おっしゃられたのは、そう昔のことではない。

 福田康夫元首相の引き際、安倍晋三元首相の引き際、それぞれ辞任表明した当時は、職場放棄だと言われ、散々な言われ様だった。今、その両元首相は、確たる構想も戦略も戦術もないまま、その場その場を取り繕い、「丸飲みできる案があるなら出して欲しい」と言って、居直る菅直人首相の引き際の悪さを、どうご覧になっているのだろうか。

 ひたむきに努力する姿は、美しい。しかし、確たる構想も戦略も戦術もないまま、その場しのぎの言動を繰り返し、可能な限り、組織の長に居座り続けようと努力する姿は、美しくない。むしろ、憐憫の情を感じる者さえ、いるのではないかと思うほど、哀れである。

 福田康夫元首相は、菅直人首相とは違い、自らの政治手腕をもってして、できる事とできない事を冷静に判別し、自身が首相を続けることの是非を熟慮し、その結果、残りの人生において、けちょんけちょんに言われ続けることを覚悟の上で、あの時機に、辞任表明されたのではないかと、思う。

 鳩山由紀夫前首相の在任期間は、266日間だそうだ。そして今日は、菅直人首相の在任266日目だそうだ。
国民生活の混乱を避けるために、遅くとも3月20日に投開票できるよう、衆議院解散の閣議決定を、至急行ない、後に「引き際を熟慮した首相だった」と言われるような引き際を、見せていただきたい。