政府が破産しなければ、心配する必要はないのか | 佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

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実態に合わなくなった諸制度を見直し、日本国を良くすることを目指す、政治ブログです。

 「政府が国債をいくら増発しても、政府が破産する、つまり、債務不履行を宣言することはないから、心配する必要はない」と説く人が、いる。

 政府が国債を発行し、投資家が引き受けて、政府に相当額の円通貨を支払う。その円通貨は、政府支出の支払いに充てられ、市中に流れる。その円通貨が、やがて株主への配当として投資家の元に集まる。
投資家は、通常、分散して投資している。株式の投資家は、国債の投資家でもある。投資家は、その円通貨で、また国債を新たに引き受ける。その結果、超大口投資家の"国債による利子所得"は、毎年増え続け、資産格差が、際限なく広がっている。

 この、超大口投資家の利子所得が増え続ける枠組み(スキーム)は、彼らにとって、とても望ましいものである。財政法4条に基づき、建設国債と財投債以外の国債の発行をやめた上で、単年度の政府財政を黒字化しない限り、この枠組みは、機能し続ける。
建設国債と財投債以外の国債とは、赤字国債(特例国債)と借換債のことである。ちなみに、どちらも、とんでもない額である。償還期限を迎えて、償還の財源がない場合、借換債を発行し、とりあえず目の前の償還を乗り切り、子や孫にツケを回す。借換債を発行することにより、償還ができなくて債務不履行を宣言せざるを得なくなることを、回避している。

 「(投資家が、借換債を引き受け続ける限り)政府が債務不履行を宣言することはないから、(赤字国債を買い増しても)心配する必要はない」と考えているのは、超大口投資家である。
この枠組みが機能し続け、日本国民の生活が劣化し続けていることを、私は、大いに心配している。