宇宙を巡る師走。(京都国立近代美術館編) | 雨の降る日も晴れた日も

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日々の感じた事を綴ります。

 

 

 

昨日は仕舞とお謡のお稽古日でした。

 

(たぶん)今年最後の上洛です。

 

 

と、その前に。

 

お稽古までの時間を利用して、こちらに行ってまいりました。

 

京都国立近代美術館。

 

「茶碗の中の宇宙 楽家一子相伝の芸術」と題して、初代・長次郎さんから当代・楽吉左衛門さんまでの作品が展示されています。

 

 

ここでねぇ。

 

な、な、なんと、先の記事に書いた「大きな愛を持つ人」S井さんと偶然にお目にかかったのですよ。

 

ホント、こんな偶然あるんだなぁ・・・。

 

 

「お昼食べた?」

 

とお訊きくださったのですが、新幹線の中でサンドイッチ食べてきちゃいまして・・・(苦)。

(たぶん、お誘いくださったんだと思う)

 

ああ!

 

バカ、バカっ、なーごのバカっ!!

 

せっかくS井さんが声かけてくださったのに~~~。

 

 

 

 

先に展示をご覧になったS井さんと一旦お別れし、展示室に。

 

 

「禿」「「万代屋黒」「俊寛」「ムキ栗」・・・。

 

初代長次郎さんの黒茶碗です。

 

その中でも「本覚坊」を拝見できたのが嬉しかったです。

 

 

三井寺の本覚坊。

 

井上靖さんの小説『本覚坊遺文』の主人公。

 

弟子の視点から利休さんの死を推理する、という小説でした。

 

 

利休さんのお好きだったという「禿」が比較的端正な形なのに対し、「本覚坊」は口造りも分厚く、歪み、少し俊敏さに欠けるような風情がありました。

 

小説の本覚坊の性格に重ねてみる・・・。

 

「茶の道」にも師匠にも殉じることは出来なかったけれど、「師匠の死」の意味を一生かけて考え続ける律義さ、愚直さ。

 

やっぱり好きです、本覚坊。

 

だからお茶碗も好き(笑)。

 

 

 

楽家代々の展示ですから当然三代ノンコウ(道入)さんもありました。

 

「僧正」とも再会できましたよ♪

 

相変わらず可愛らしい姿でした。

 

 

他には十一代・慶入さんの「潮干(しほひ)」も面白かったなぁ。

 

背の低い白いお茶碗で、見込みの中に貝殻がいるの。

 

お茶を飲み干すと中から貝が顔を出すのね。

 

潮が引いて砂浜に貝が現れるように。

 

 

 

他には二代・常慶さんの「香炉釉井戸形茶碗」。

 

口造りに、確認出来ただけで9か所の金継ぎがありました。

 

って、別に粗を探そうということではなく(笑)。

 

 

ああ。

 

持ち主に愛されたお茶碗なんだなぁ。

 

傷は痛かっただろうけれど、幸せなお茶碗だね。

 

と、思ったのです。

 

 

 

S井さんもおっしゃっていましたが、「天才の集まり」です。

 

2月12日までなので、おススメですよ。

 

 

ちなみにS井さん。

 

長次郎のお茶碗でお茶を飲まれたことがあるそうです!!

 

曰く、

 

「とても柔らかい感触で、口を付けると、まるで赤ちゃんにkissしたみたい」

 

とのことでした♡

 

私もkissしてみたい(笑)。

(でも、怖い・・・苦笑)

 

 

 

S井さんは楽吉左衛門さんの記念公演をお聞きになるということで、もう一度少しお話をしてからお別れしました。

 

「常設展のほうにも長次郎さんあったわよ」

 

との情報をいただいたので、見るつもりは無かったのですが再度4階へ。

 

 

え~~と、ね。

 

見に行ってよかったです。

 

お茶碗は長次郎さんの「万代(よろづよ)」と吉左衛門さんの「老鴞」。

 

「老鴞」-「ろうきょう」と読むのでしょうか?

 

「鴞」はフクロウを意味する漢字のようです。

 

 

展示室の正面に大きなスクリーンがあって。

 

そこにこの二つのお茶碗が交互に映し出されるのですが、それがまるで編み物をほどいて糸に戻し、その糸を使ってもう一つの作品を作る、というような映像で表されていました。

 

ああ、もうっ!

 

上手く説明できないのが辛いんだけど(苦笑)。

 

 

初代から十五代まで。

 

こうして「楽」という家が繋がれてきたんですね。

 

 

「無」から何かが爆発して「有」が生まれ、宇宙を構成する一粒一粒が時間や空間を越えて離れたりまたくっついたり。

 

こうしてずっとずっと宇宙は生き続けてきたんだなぁ、ということがよく分かる映像です。

 

今回の展示テーマは「茶碗の中の宇宙」ですが、4階の展示も含めて完成するのだと思います。

 

もしお出かけの際は4階もぜひ!

 

 

続く、たぶん。